レインウォッチャー

クリーピー 偽りの隣人のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)
3.5
・香川はむしろ隠れみの

・香川照之氏の怪演ぶりはみごとだがそれだけ、みたいなレビューが多く見られるが、それは大きな釣り餌に食いついて満足しているようであり、もったいない感想だ。確かに香川氏のデフォルメされたサイコぶりはみどころのひとつだが、それ以外の「ナチュラルサイコ」西島・竹内夫妻のほうが実はヤバイ。常に目の奥に感情がない西島氏、声のトーンの変容だけで不安でたまらなくさせてくる竹内氏。
・和製ホラーならではのじっとりとした雰囲気づくりも見事で、背景や小道具の隅まで計算されて蔓延した悪意が、説明されない人間関係の異常さをあぶり出し、あらゆる人を疑いたい気持ちにさせてくる。観る者の日常に侵食してくるいやらしさである
・とはいえいろいろ笑ってしまうようなところもあって、そこがシナリオに水をさすようでもあり、傑作!とまでの印象にはならなかったが明らかに異物としてしばらく喉元に引っかかり続けるであろうパワーを持っている
・最後の竹内氏の慟哭は何の感情のあらわれなのか、いろいろ想像してみておもしろくきもちわるい
・好きなシーン:なんか背景からずっと睨んでくるだけのモブ