レインウォッチャー

手のレインウォッチャーのレビュー・感想・評価

(2022年製作の映画)
3.0
《おじさん》を好奇の目で見る主人公と同様に、おじさんたちもまた若い女子をある種の偶像めいたカテゴリーとして見ている。

おじさんたちのメッセージ(a.k.a説教とか)はことごとく的外れに脇をヒュンヒュンと飛んでゆくようだけれど、達観して冷めているような主人公もアテを外し、期待は崩れる。
「かわいい」は時に便利で都合の良いラベリングだし空論は身を結ばない、要するに、とても基本的なコミュニケーションの話なのだった。

主人公がおじさんたちと接するとき、どこかに若さという地の利、いわばブランド優位性を保った安心感を得ていたのだと思う。それは父親に対して感じている距離感へと反転して、彼女のコンプレックスの形を縁どっている。

タイトルの通りところどころで《手》を印象づける映画だ。
たとえ手を握り、導き、絡めあっても、本当のことがわからないこともある。それでもわたしたちは手を伸ばす、その先に何かあると信じて。