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永い言い訳のcchhiikkaakkooのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
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酔って口から出るのは文句ばかり、うつむき気味な不満そうな表情は一切変わらず、冷え切った夫婦関係、家を空ける妻の行先も知らず。ひとりになった隙に楽しむ束の間の情事、次の日を迎えて知らされた妻の死には涙も出なかった。

酔った時にボロボロ出てくる彼は、みっともなくて、情けなくて、ああ言えばこう言って言い返してみせて、自分で自分の居場所をなくしちゃう。
そんな彼が、遺された妻の親友の子供たちを通して、触れたもの。誰かのために走ったり、必死に自転車漕いだりする姿に、彼の中に眠っていた体温みたいな温度みたいな暖かさをふっと感じる。子供は決して免罪符なんかじゃなくて、子供と接することによって己のダメさやクズっぷりが帳消しになるんじゃなくて、彼らを通してこそ、自分自身と向き合えるのだと思う。それまでに気付けなかったことに触れられるのだと思う、自分と他者と人生とを振り返って見つめ直せるのだと思う。


さちおくんが池に浮かぶボートに乗るシーンが息を呑むほどに美しかった。
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