自分の国を「ドイツ人」に地雷だらけにされた軍曹と、その報復に近い形で「デンマーク人」に非人道的な扱いをされる少年たち。それぞれの立場をバランスよく描いた映画だと感じました。
軍曹は「デンマーク人」として「ドイツ人」を憎む理由がある。少年たちは「ドイツ人」として「デンマーク人」たちを恐れる。それぞれの立場を明確にした上で、彼らが一個人として向き合ったとき、初めて憎しみや恐れではないポジティブな感情がお互いに対して向けられる、その過程が辛抱強く描かれていました。
私もよく「~人は~だ」といった大きな主語で語ってしまいますが、必要もなく負の感情を生み出すおそれのある行為であると自覚したいと思います。
いくつもの意味を含んだ「Under sandet」「Land of mine」「ヒトラーの忘れもの」の各タイトルも秀逸でした。これは異国の地に忘れ去られた子どもたちが、軍曹の心の中にある自国を汚されたことに対する憎しみを取り除いていく、そういう物語だと解釈しました。