J四郎

ザ・ギフトのJ四郎のレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
3.7
ジョエル・エドガートンが監督、脚本、製作を手掛けている作品。
ホラーの棚に飾ってあったけど、コレはどっちかといえばサイコスリラーなんでは?
ある意味ホラー要素もあるけど、それを期待するとものすごい変化球で打ち取られるのでご注意を。

新居に引っ越してきた勝ち組夫妻の前に、夫サイモンの高校時代の同級生ゴードが現れる。
このゴードを演じているのがジョエル・エドガートン。
最初っから不気味な雰囲気を醸し出すこのゴード君は二人に贈り物、つまりギフトを贈り始める。その有難迷惑がドンドンとエスカレートしてゆく。

久しぶりに会った学生時代の友人がキモくズカズカと踏み込んでくるのは、昨年の邦画の「クリーピー」と「ヒメアノ~ル」の合わせ技みたいやな~と最初は思った。
真綿で締めるようにじわじわ追いつめられていく夫婦。
途中で唐突に登場するワンちゃんに一番ビビった自分がちょい情けないが。
なんや、コレよくある話やな。と油断していたが、途中から全く予想外の展開になってゆく。
ゴードが贈った本当の”ギフト”とは?

この映画はネタバレせずに感想を書くことすら難しいな。
まだ未見で興味のある方はあまりレビューとか見ずに挑んだ方が良いかもしれません。
本当は〇〇モノだけど、コレを書くだけでもネタバレ。
ネタバレすんじゃねぇ!って方はこれ以下もう読まない方がよろしいかと。
なるべくぼかして書きますが、鋭い方はそれでも解ってしまうかも。

途中からゴードの過去が判明し、その原因となる事件の真相が分かってからは完全に視点が転換してしまう。
ある人物が、アレ、こいつ薄々は気づいてたけど、めっちゃクソ野郎やん?と。
ゴードをキモ~いと見つめていた俺もコイツと同じ視点になってたのか?
そのため、話としては面白いものの登場する誰にも感情移入が出来なくなってしまう弊害があるかもしれん。

ただ、スリラー映画を多く観てると途中で幾つかの仕掛けに気付いてしまうかも?豪邸でゴードの悪口を言うサイモンとか、急にぶっ倒れる妻ロビンなんか後の伏線になってるけど、僕はそこで先の展開が分かってしまった。
僕が鋭いって言ってんじゃなく、スリラーもんをよく観てる方ならこの場面を観た時点でオチまで分かってしまうと思います。
とはいえ構成が上手いのでそれでも最後まで楽しめた。

ラストも後味悪く終わり(人によっては痛快?)、真相はどうだったのか?観てる側も”弄ばれる”モヤモヤっとしたままの幕引きに。
「ノックノック」みたいな理不尽な後味の悪さではないが、こういうの苦手な人はまずアカンやろねぇ。
この作品に潜む何がコワイのか?そこにピンとこないと退屈極まりないかもしれない。
J四郎

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