satoshi

マグニフィセント・セブンのsatoshiのネタバレレビュー・内容・結末

マグニフィセント・セブン(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

 見ました。「七人の侍」「荒野の七人」のリメイク作品。しかし、感想としては、西部劇を現代的に上手くアレンジしていて、いいところは結構あるけど、全体として微妙な作品だなぁ、惜しいなぁと思いました。

 まず良いところですが、主役である七人が多人種チームであることです。黒人、白人、アジア人、メキシコ人、インディアン、とにかく多彩です。まさに「人種のサラダボウル」と言われるアメリカそのもののようなチームです。そして、その中の何人かのキャラは本当に良かったです。特にイ・ビョンホンですね。七人の侍でいうところの久蔵ポジションで、ナイフ使いです。ナイフという特性故か、殺陣が素晴らしく、かっこよかったですし、ギャグシーンも笑えました。「戻って来い!」のアレです。後デンゼル・ワシントンとクリス・プラット、マヌエル・ガルシア=ルルフォも良かったです。

 そして、七人が挑む「敵」も良かったです。肩書としては実業家ですが、やり方がえげつなく、武力を背景に土地を奪い取るというものです。そしてそうやって人から奪い取ったもので私腹を肥やしているという、資本主義の権化みたいな男です。

 この男の持つ兵隊と七人、そして村人が闘うのです。つまり、この映画は、資本主義の権化VS多人種チームという、非常に現代的な構図なのです。そしてもう1つ現代的な要素として、救われる側が白人なのです。つまり、多人種が白人と共に戦うわけです。主人公は白人ばかりであった昔の西部劇と比べると、アメリカの歴史を感じることができます。また、村人側のリーダーが女性であるのも非常に現代的ですね。実質8人目みたいなものですし。

 その他にも、テンポの良さとか、アクションシーンの現代的な面と西部劇的な要素のバランスのよさとか、良いところは結構あります。

 ただ、微妙な面もあるのも事実です。まず、7人のガンマンたちの戦う動機が良く分かりません。何だか、ただ着いていった、位な印象しかなく、そのために感情移入できませんでした。ここはテンポの良さがあだになったかなぁと思っていて、サクサク進みすぎて、キャラの掘り下げができてなかったかなぁと思ってしまいました。

 また、イーサン・ホークですが、彼のPTSD設定は必要だったのでしょうか。最終的に覚醒して戦いますが、戻ってきてやったことと言えば、ガトリング銃の存在を伝えたくらいですし、PTSD克服も理由が不明です。「仲間のために」みたいな解釈でいいのでしょうか。そして、そのガトリング銃の攻略も少し雑な印象です。台詞が伏線になっていたりして、あのキャラの最期にはグッときましたが・・・。

 そして何といっても最終決戦ですよ。ラストでチザムの戦う理由が明らかになるのですが、そこで思うことは、「お前の個人的な復讐かよ」で、他の6人が「ただ個人の復讐に付き合わされた人」にしか思えなくなり、ラストのナレーションの感慨が薄れてしまいました。まぁ、その直後に「荒野の7人」のテーマが流れて、テンション上がりましたけど・・・

 過去の西部劇を現代的にしているところは良いし、アメリカの歴史を感じる作品ですが、全体としては微妙だなぁといったところです。
satoshi

satoshi