やわらか

バービーのやわらかのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
とても楽しかった。

一般的にはお利口な映画と扱われるのだろうけど、個人的にはバカ映画的に好きだったな。(お利口な映画としては説明が多すぎるし締めも弱い気がする)

ケンたちの垢ぬけない振る舞いを誇張して見せられたり、某シーンのクイーン(というかグッチ裕三)風ミュージカルとか素直に爆笑できた。自分みたいに自分自身が馴染めていない『男世界』を客観的に見るのを楽しむ男性も結構多いのではないかな。

あと各シーンの距離感。外国人的に舞台をLA~西海岸~アメリカ、みたいなふわっとしたイメージで観る人が多いだろうけど、サンタモニカビーチと現実のマテル本社はロサンゼルス空港挟んだ海沿いで15kmぐらい、バービーランドは一面としてハリウッド自体の暗喩だろうけど、ワーナーのスタジオが20kmぐらいとめちゃくちゃ狭い範囲なんだよね。

で、『LA LA LAND』のオープニングは空港からLA市内に向かうハイウェイで、あの坂道があるグリフィスパークはワーナースタジオと隣接、という感じ。だからゴズリングなんだなー、と。自分はちょうど去年に行ったんで思い出せて良かったな。あ、そん時教えて貰ったけど、LAはカリフォルニアの中でも特にリベラル志向が強い地域なんだそう。その辺も下敷きになってるのかな。

アメリカ人的にはそういう狭い「映画村」「リベラル村」の寓話として受け取ることもできるだろうけど、他の国の人は、(少なくとも映画館に向かう時には)女性性と男性性、みたいな真面目なテーマを期待して観に来るのも面白い。(その場合、「期待した料理が出なかった」みたいな肩透かし感はありそう)

ただ、あえて言えばグレタ・ガーウィグの作品としてみると、ちょっとハリウッド慣れしすぎて尖った感じがなくなったかもしれない。『20センチュリー・ウーマン』みたいな思い入れは感じないかも。
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