Benito

クエイ(原題)のBenitoのレビュー・感想・評価

クエイ(原題)(2015年製作の映画)
3.5
【 ノーランが覗いたクエイ兄弟の工房 】

アメリカ人一卵性双生児でカルト的な人気と影響力を持つストップモーションアニメーターのスティーブン&ティモシー・クエイ兄弟。

クリストファー・ノーランは、20代前半にイギリスのTV局チャンネル4の放送で彼らの映画に出会い、ファンになっていたという。

史上初めて、この兄弟のスタジオ内部の仕組みをノーランによって構成、撮影、編集、製作された作品。(「インターステラー」公開翌年の作品) しかも35mmフィルム撮影だから映像の質感も凄く深みが出ている印象。兄弟へのリスペクトを感じる。そして時計の音を使うあたりはノーランらしい。

ふたりは撮影時は60代後半。小さなスタジオで様々なセットを構築し、人形を製作・調整し、照明を変えたりと細部に拘りながら楽しく作業している様子がいい。ダークな雰囲気と独特な質感、不思議なノスタルジアがクエイ兄弟の作品にある理由はこのスタジオと兄弟の関係を見るとよく分かる。映画のオープニングとエンディングのピントを外した演出もいい感じ。


ちなみにクリストファー・ノーランが選んだクエイの作品は
 「IN ABSENTIA」(2000 年)
 「THE COMB」(1991年)
 「ストリート・オブ・クロコダイルズ」(1986年)
となっていて、この3本が2015 年 8月 19日にニューヨークのフィルム フォーラム劇場で本作「Quay」が初公開された時に同時上映されていたとのこと。

当時の特集上映の予告編
https://youtu.be/dtT3e3exJA0?si=NQCAjwbBXuDUV88T
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