図師雪鷹

アイリッシュマンの図師雪鷹のレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.6
劇場で観ることを超オススメします!!
確かに、ネットフリックスで配信される予定ですが、この映画はもともと劇場用に作られた映画で(ROMAも同じく)、スコセッシも劇場で観てほしいと言っています。
上映時間も3時間超えとものすごく長いので、ストリーミングで観たら絶対一回以上一時停止にする自信がある笑
この作品の根底には、"どんな屈強な男でも時間の流れには絶対に逆らえない" というテーマがあるように感じられ、そういった意味でも、絶対に一時停止することのない劇場で観てほしいと思いました。



主人公はフランク・シーラン。
表では全米トラック運転組合のメンバーとして、裏社会ではマフィアと手を組み多くの命に手をかけてきた。
かのジミーホッファにも認められ地位を与えられてゆくシーランだったが、そのために払った犠牲はあまりにも大きすぎた。
この映画は、表と裏の狭間で生きてきた男の哀しい一つの人生である。


マフィアの世界が恐ろしいということはもちろん理解できる。
だが、あの "死の博覧会" は「恐ろしい」という言葉じゃ足りなすぎる。


様々死に揉まれ続けたシーランが最後のたどり着く境地。
そこには彼以外の誰も立ち入ることはできない。
だが、誰かのためだと思って行動していたことが、その "誰か" と自分の距離を遠ざけてしまう。
この経験は、誰にでもあるのではないか。



"この部屋から出るとき、そのドアを少し開けたままにしておいてくれ"


遠くに見えるシーランの姿は、とても元殺し屋とは思えないほど微かなものだった。
図師雪鷹

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