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ノクターナル・アニマルズのペインのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
4.5
まるでデヴィッド・リンチの姿をしたヒッチコックだ!

たしかにオープニングの度肝を抜く映像はホドロフスキーやリンチの映画を観ているような感覚に陥るが、その後は完全にヒッチコック映画的。

正直、退屈と感じる人がいるのもおかしくないほどスローな展開ではあるが、脚本、衣装、美術、映画としてのルック、どこをとってもトム・フォードの前作「シングルマン」以上に洗練されており釘付けになって観てしまった。あと「シェイプ・オブ・ウォーター」に引き続きマイケル・シャノンが抜群だったなぁ。
 
ラストはもう少しわかりやすい着地にしても良かった気はするが、これはこれでなかなか後を引きました。

以下ネタバレします。



本作は劇中“REVENGE(復讐)”という思わせ振りなアートが出てくるが、断じて復讐の話ではありません。これは“愛”のお話。ラスト、エイミー・アダムス演じる主人公が“胸のはだけたドレス”を着て会う約束をしていたジェイク・ギレンホール演じる元夫に会いに行きます。ただし彼は姿を表しませんでした。でも実は彼は外からエイミー・アダムスを観察しており、エイミー・アダムスが“あわよくば復縁を”と考えていることを表情や服装から察知してあえて姿を見せなかったのです。

ジェイク・ギレンホール演じる元夫は著作「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」でエイミー・アダムスに今の自分自身と決別し、アーティストを目指していた昔のありのままの彼女に戻ってほしいというメッセージを込めたのだと思われます。それが伝わらなかったことをジェイク・ギレンホール演じる元夫は残念に思ってエイミー・アダムスと会うのを止めたのだと思われます。
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