マルメラ

スマート・アスのマルメラのレビュー・感想・評価

スマート・アス(2014年製作の映画)
2.0

すごい期待してたのに、かなり残念。

フランスの最高峰のビジネススクールの学生が売春斡旋業者を始めるという設定は面白かったんですけど。
設定に対するアプローチが悪すぎるかなと。

この設定を聞くと、「ソーシャルネットワーク」を思い浮かべる方が多いと思います。
私自身、この映画は「ソーシャルネットワーク」的な映画なんだろうなと予想していました。
しかし、この映画は経済学の要素があまりない。
というより、「需要と供給」程度のことくらいしか話題に上がらず、そういった知識を映画に活かそうという気が無かったのだと思います。

そして、売春斡旋業者というものに物珍しさがなく、その手法もありきたり。
街で金銭的に満たされていない可愛い子をスカウトして、売春をやらせているだけ。
そこに何も新しい知恵がない。

「ソーシャルネットワーク」のように、ビジネスを始める動機。そしてアイデアの発見が上手く描かれていないのがまず問題。
童貞の友達に売春婦を斡旋するというところから始まるんですが、これは何も新しい発見でも何でもない。
ただシロウト童貞を作り上げただけです。
こんなやつ、そこらへんにたくさんいます。

「ソーシャルネットワーク」は彼女がいるかいないか、どんな話題で話しかけるのが良いのか等を、みんなが知りたがっているが、そういうサイトがない。
というアイデアと隠された需要の発見が面白かったのに。
この映画のアイデアは世界共通。
男はやりたい。金の欲しい女はいる。
需要と供給。
当たり前すぎて笑えます。

さらに、この映画の脚本には決定的なミスがあります。
まず、冒頭数分でインド人だかチュニジア人だかの青年が主役だと誰しもが思ったはずです。
このインド人的な青年とジョナヒルまがいの青年が主役と準主役なんだろうなと。
だけども、それは最初だけ。
途中から主役がジョナヒルまがいに変わります。
インド人はあんまり出てきません。

そこで、「え?この映画は誰の物語なの?」となります。
根本的なミスです。

さらにいうと、物語中盤から、レズビアンと偽っていた女の子と、許嫁がいる男の恋愛物語に変化します。
この段階で主役がこの2人になり、ジョナヒルまがいは主役ではなくなります。
根本的なミスです。

で、最後のシーン。
処分が言い渡されるところで、この2人が変化を見せるのですが、唐突!!
「なんで、こうなった?」と皆が頭を抱えます。
そして、主役とされていた男の子は横でぼーっとしてるだけ。
彼は特に何も成長していない。
ただ、フラれて終わり。

以上のように、アイデアを活かした脚本作りがなされていない。
そして、脚本のルールともいうべき、主役と準主役の描き方ができていない。主役と準主役がコロコロ変わり、観客の視点が定まらない。
そもそも、アイデアを活かそうとする勉強をしていない。
アイデアも一次的なアイデアで、そこからの発展がない。

駄作です。
マルメラ

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