ブタブタ

エイゼンシュテイン・イン・グアナファトのブタブタのレビュー・感想・評価

4.0
グリーナウェイ版『おっさんずラブ』
現地ガイドを務める比較文化学教授のパルミーノは知的かつエロ美男子😎
吹替えするなら完璧に津田健次郎ボイス。
エイゼンシュテイン監督がこのパルミーノに撮影そっちのけで入れ揚げて愛欲と悦楽に耽ける様をこれでもかと描く。
それから切ない恋心も。
だから映画は完成しないというね😘
日本ではラテン映画祭で数回上映されたきりで一般公開もdvd 発売も配信もなし。
原因はチンコだろうけど👇
三分割画面でブラブラ揺れるトリプティーク・チンコ👇👇👇
兎に角画面を占領するチンコ👇
これボカシを入れたら30分位は何だか分からないボカシ画面をずっと見る事になるので日本での配給は諦めたのか🥹
丁度公開時期と同じ頃に閉館したシネマライズ渋谷が閉館してなかったら無修正版と銘打ち上映してたかも知れないと思うと残念。
グリーナウェイ作品と言えば渋谷のシネマライズだった。

セルゲイ・エイゼンシュテイン監督のドキュメンタリー大作『メキシコ万歳』は結局完成せず、他の監督による未完成編集版が後に公開。
その撮影の顛末を描く、という設定ながら『メキシコ万歳』はほぼ関係ない。
冒頭、メキシコへとやって来たエイゼンシュテイン監督を迎える著名人及び周りのカメラマンらスタッフ達は演じる俳優を真ん中に両サイドに本物・本人の写真が三連画みたいな形で出る
フリーダ・カーロとその夫ディエゴ・リベラ、その他の人はよく知らない。
エイゼンシュテイン監督の警護に付けられているメキシカン・ガンスリンガー三人組がいつも少し離れた位置で煙草吸ってる姿がカッコイイ。
そして最後まで何の出番も活躍もないのが凄い。

『8 1/2』等の映画監督映画ではあるけど名作映画の裏側とか完成迄の苦労とかそういうの一切ない。(映画自体完成してないし)

日本で言えば、例えば黒澤明監督がソ連で『デルス・ウザーラ』撮ってる最中に撮影そっちのけで現地ガイド(男)とヤリまくってたとかそんな映画撮ったら許されないと思うけどエイゼンシュテイン監督ならいいのか🤔

ソ連の偉大なる映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインはハリウッドに招聘され『メキシコ万歳』撮影の為にグアナファトへとやって来る。
モノクロからカラーへの転調、三分割画面、そしてエイゼンシュテイン監督の周りをやたら飛び回る《蝿》
ご丁寧にも分割画面の両サイドに蝿のドアップ、肉に湧き出るウジ虫迄も映す。

『蝿の王』
コレは勿論『戦艦ポチョムキン』での水平達の反乱の導火線となった「腐ってウジが湧く肉」の映像より。
蝿は「多産」「不死性」を表すと同時に死体にたかるウジ虫や細菌や疫病の媒介者であり「死の使い」でもある。
映画監督はその映画という世界に於ける《王》でありエイゼンシュテイン監督は蝿のたかる《死者》であり《王》でもある。
この辺りジャームッシュ監督『デッドマン』の異界への旅、一度死に復活する《デッドマン》の黄泉路を思わせる。
メキシコのグアナファトというエイゼンシュテイン監督にとっては完全なる《異界》への旅でありそこで出会うパルミーノ教授による性と死についての教義、そしてイニシエーションを受ける事となる。

『死者の書』
バロウズの『ワイルドボーイズ・死者の書』はゲイ・テロリスト集団による奇妙な教義や過激な性行為、そして南米を舞台にメタ的作劇が展開する。
本作もセルゲイ✖️パルミーノのハードなゲイ・セックス、そして《死》《死の世界》に関する描写が濃厚😇
セルゲイが訪れる先は現実と幻想の境が曖昧で、涅槃を思わせる。
奇妙な人々が現れては消える地下道や、ミイラ博物館のガラスケースに収まったミイラが暗闇の中無限に並んでる様な光景は明らかに現実ではない。
乗り鉄の走りとも言える内田百閒の『阿房列車』も鉄道旅の紀行物と言う体裁で途中から幻想小説になる。
何だか本作はこの『阿房列車』にも似てる。

合成丸わかりの回転する背景や歪んでる劇場、エイゼンシュテイン監督が見た幻想のグアナファトであり性と死の教義。
そしてお約束の如くラストは祝祭「死者の日」で髑髏がいっぱいの光景で終わる。
グリーナウェイ監督は続編を企画してるらしいとの事であるが本当だろうか💀
その前に日本公開or配信して欲しいが💀
ブタブタ

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