逆鱗

明日への逆鱗のレビュー・感想・評価

明日へ(2014年製作の映画)
3.4
安い賃金で散々コキ使って、挙句解雇だと言われりゃ、怒るぞゴラァ💢

元ネタは2007年に本当にあった話。
非正規雇用者を正規雇用しないといけない法改正がなされるに伴い、一気に解雇し派遣社員に入れ換えようとしたらしい。

しかも労働環境も劣悪で、サビ残、クレーマーにも謝罪などのパワハラが横行し、繁忙期にはトイレさえ行かせてくれない奴隷環境だったらしい。
この会社はホームエバーという店名が実際の名前。

韓国は金融危機時に中小企業の多くを潰してしまったから、財閥系の大企業に勤務できるか外資企業に勤務するかしないと、安い賃金で働く負のスパイラルに入ることになると聞いたことがある。

だから英語を学習してグローバルでの活躍を目指すし、受験戦争は日本よりも激しいという。

そんな世の中が、こういう劣悪な労働環境を生み出すのだろうか。

しかし、この作品は実話のハードさを甘口にし過ぎている。
ストライキの最中は楽しげな文化祭的雰囲気や集団心理で気が大きくなっているだけのような見え方さえする。

善良な真面目な市民が追い詰められ、プライドを傷つけられ、生活さえ奪われることになり、止むに止まれずストライキに踏み切った感じが弱い。
また、ストライキの中も理不尽な妨害、聞く耳を持たない会社に腹わたが煮えくりかえるような感じも弱い。

ジャケ画像からして笑顔で団結みたいな描き方だけど、そんな生優しいもんじゃない。
逮捕されるもの、家庭崩壊になるものまで出てきて、生活だけじゃなく、まさに人生や人間の尊厳を賭けた戦いを描ききれていないと思った。

作品の面白さ的には、正直3点だが、テーマが良いので、平均点と同点を着けた。
観る人が減らないように。

以下蛇足
自由を勝ち取った韓国人の歴史からか、2007年の近代でここまで理不尽さと真っ向戦う熱い国民に敬意を表します。
でもここまで理不尽な環境が残っていたことも驚きです。
日本の労働環境も非正規化が進行し、実質賃金も低下しています。
育児に集中したいママや、楽隠居したい高齢者も働かないと生きられない世の中です。
消費税も10%にされ、一月分の生活費が消費税で取られます。
かつ、低年収世帯の方が負担率が大きくなる逆累進課税です。
課税の仕方は、どういう国を作りたいのかの理念の表れと言います。
それがもし本当なら日本は庶民に重い税金を課し、金持ちを優遇するという理念が透けて見えるような気がします。
俺たちも立ち上がる時ではないでしょうか❗️
マスメディアのニュースを鵜呑みにしないで、情報収集を自分で行い、客観的な事実を調べて選挙で票を入れたいものです。

あと、チャンウヒ推しとしては、こんな特徴ない使い方しないで欲しい。もったいない。誰でも良いじゃん。あの役は。
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