Aya

シークレット・デイ あの日、少女たちは赤ん坊を殺したのAyaのレビュー・感想・評価

3.8
#twcn

え、傑作では?

映画的構成、物語の真剣なテンション、のめり込ませる脚本、そして音楽や人物を含めた見事な演出と全てがマッチしている。

物語は暗く、順序立ててゆっくり進むが目を離せない。そして目を背けてはいけないラストにたどり着く。

うぇ、え?!
「フロム・イーブル」のエイミー・バーグ作品?!
うえ・・・納得・・・。

2014年作品ですが日本公開は2017年。

7歳のロニーはいわゆるトラクターに住んでる系の女の子。親友のアリスと学校の人気者のバースデープールパーティーに遊びに行くが、ダサくて安っぽいプレゼントが喜んでもらえず、Bit●h呼ばわりをして追い出される。

ふてくされた帰り道、2人は家に誰もおらず、ポーチに置かれていたベビーカーを発見する。
そこには可愛らしい赤ちゃんの姿が・・・。

時を経て、18歳になったアリス(ダニエル・マクドナルド!)は刑務所から大好きなテレビ番組へ手紙を出す。
私の物語はきっとみんなの興味を引くだろうと。出所した彼女は仕事探しとダイエットに励むも選り好みが激しい。
太っている自分にコンプレックスを抱えているものの、理想は高い。

一方、ゴス系のロニー(ダコタ・ファニング)はふてくされながらベーグル屋で働いている。
そんなロニーを幼い頃の親友アリスは陰ながら様子を見に行く。

時を同じくして、コモン先生のガールフレンドの娘の子供が行方不明になる。
刑事としてエリザベス・バンクス姉さんとネイト・パーカーがやってくる。幼い少女の失踪事件のため、真っ先に容疑者の疑いをかけられるコモン先生。

捜索続けるが、血痕や髪の毛などが見つかってしまう・。
ちなみに今作は「恋するブロンド・キャスター」と同じ年に撮られてて、「マジック・マイクXXL」の2年前か。
そんなに前じゃないけど、最近のバンクス姉さん結構老けたよね。

ここで2つの事件がつながる。

ロニーとアリスはバースデーパーティーの後に見つけた赤ちゃんを連れ去り、殺した罪で少年院に入っていた。

そして現代で起こった子供の事件は近所で起こった。
しかも今回の失踪事件の母親は10年前、ポーチに赤ちゃんを置き去りにしたナニーだった・・・。

10年前に娘を亡くした母親は今では新しい娘ができ、昔の記憶が蘇りl、不安に駆られ根拠もなく近所に住む彼女たちが怪しい、と警察に証言する。

バンクス姉さんたちがロニーの職場を訪ねるが、ロニーはそのまま逃げてしまう。

当たり前にアリスの所へも警察がやってくる。
アリスは「知らねえよ。前の事件だって私は殺してない。ロニーが私の子だと言い、連れ去って殺した」と言いはる。
それは彼女の外見コンプレックスからくるものか、過干渉の母親のせいか。
アリスの証言は真実なのか、それとも嘘を付いているのか。

一度は逃げたロニーを見つけたバンクス姉さんはなぜ犯人でないなら逃げたのか?と問い詰めると「あの時の刑事だから」と言う。
そう。10年前のロニーとアリスの幼児殺害事件の担当者だった。

ロニーに事情聴取(10年前の事件)を行うが、ロニーはアリスが殺したと言う。食い違う証言。
どちらが嘘をついているのか。

しかも2人とも血液採取を拒否する点も怪しく、疑惑初乗る一方。
今回の失踪事件も彼女たちが関わっているのか・・・。

全体的に重い空気&真剣に話は進む上、画面も暗いので雰囲気は満点。映画的雰囲気は満点。

10年前、幼い頃の無邪気なプールで遊ぶ少女たちの姿が所々挟まるのもいい。
そして事件の真相をロニーとアリスの視点で見せられるので何が真実なのかわからない。

そして、あまり重要視していなかったが、連れ去られた2人の赤ちゃんと、もう1人重要な役割を担う赤ちゃんがブラックなのがこの物語では重要だった。

出所してからのアリスの孤独で(悲惨)な人生。
アリスがしきりにダイエットと言いながら街を歩き回りカントリークラブをうろつき、子供を眺める姿も怪しくも痛々しい。

7歳の時に可愛い赤ちゃんを誘拐し、経緯はどうあれ殺してしまった。
その真実を知るたった2人。
この大人(と言っても18歳)の2人が事件以来、初めて接触するシーンもスタティックながらミステリー色の濃い演出となっており、かなりハラハラする。

多くを語らないロニーとは逆に嘘っぽいことを並べ立てるアリスのつかめないキャラクターもいい。
そしてそんなアリスの人格を形成した人物が事件に大きく絡んできたのは想像以上のヤバさで怖かった。

バンクス姉さんは容疑者2人に対して事実を提示した上でめっちゃ優しくて、今なう起こっている事件解決のために必死だ。
失踪事件の被害者の生存率は時間が勝負である。

いちコミュニティの中、2つの事件の関係者が繋がり、外見差別(美しく成長したロニーと太めのアリスの美醜の問題)も盛り込まれるというキャスティング配置も素晴らしい。
映画全体に盛り込まれた赤ちゃんの泣き声も辛さが増す。

そしてラストは・・・終わらない恐怖。
グッジョブ!!!
とんだ拾いものだわ。
やはり映画は見てみないと何もわからないですね!

Aya

Aya