海老シュウマイ

グッドモーニングショーの海老シュウマイのレビュー・感想・評価

グッドモーニングショー(2016年製作の映画)
2.0
いやー完全にミスリードされました。まさか中井貴一にそんな理由が隠されていたとは。愚かな大衆の、その底辺を担う私としてはイチコロでしたよ!
って納得できるかっての、後出しジャンケンも大概にしろよ、災害現場で中継が来るのわかっててあんなことするかっての。

逆に優秀なレポーターなら、ありのままを伝えつつ、子どもも笑顔で頑張ってますとか、我々はあの子どもが未来を切り拓けるようにしなければなりません、とかいい話にして締めるでしょ。
大衆をミスリードさせてこき下ろしたい気持ちが強すぎて、大好きなメディアの人間も一緒にマヌケに描いてちゃ本末転倒ですよ。

そして、これまでの大衆嫌悪では、ネット民や負け組など一部の特殊な人達に対する攻撃として、巧妙に包み隠していたにもかかわらず、本作ではついに老若男女を問わずバカな意思決定をリモコンボタンでさせてしまった。
大衆の過半数があんな決断できるわけないでしょ。あれだけ情報が入ってれば濱田岳に同情さえする。

痛ましい事件や事故があったとき、同じように心を痛めるのが大衆で、昔も今もさほど変わらないと思うよ、判官贔屓って言うし。
問題はそれをすぐ忘れちゃうことぐらいなもんで。

結局、「良識あるメディア人」たる時任三郎のカッコイイ「正しい」決断を描きたかっただけなら、サーバーがダウンして集計できませんでいいわけで、視聴者たちにあえてあの決断をさせる必要はなかった。
やっぱり大衆嫌悪、憎悪、恐怖と言われても仕方ない。そして本作では包み隠す最後の一線を越えてしまった気がする。

まさしく大衆を手のひらで踊らせていた君塚大先生が大衆を見誤るとは。

おそらくミクロ的にはコストを回収できなかったであろう本作が、先生の遺作になってしまって良いのでしょうか。晩節を汚したままではいけません。ここはもう一本やりましょう。
「どうだ俺の言っていた通りの世の中になっただろ」なんて悦に入ってる場合ではありませんよ。そんなのクラブハウスで語っててください。

お仕事映画としては良かったし、中井貴一が呼び出される設定までは面白いのに、あの大衆の描写をチューニングできていれば…
まあそうなると君塚作品ではなくなってしまうのか。