TAK44マグナム

ビッグ・マグナム黒岩先生のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ビッグ・マグナム黒岩先生(1985年製作の映画)
3.0
愛は力なり!力なき愛は無力なり!!

おまえは大山倍達か!!

こいつは凄い映画ですよ!
あまりの度肝抜く描写の数々に腰抜かしますよ!

新田たつおの漫画を横山やすし師匠主演で無謀にも実写化!
横山やすし師匠にとって、これは遺作となってしまいました。

藤沢の場末の映画館に、「戦国魔神ゴーショーグン/時の異邦人」を観に行ったら同時上映でやっていた本作。
すごいものを観てしまったと、まだガキンチョだったのでドキドキして、その割には細かいところは完全に忘れました!

校内暴力が吹き荒れる世紀末救世主伝説のような学園に、ひとりの冴えない風貌の教師が新たに赴任してきます。
横山やすし師匠がまるで気弱な新橋のサラリーマンみたいな格好で演じる黒岩先生です。
普段は弱々しい感じの黒岩先生ですが、その正体はなんと、文部省に唯ひとり存在する、マグナムの携帯と使用が許可されたスーパーヴァイオレンスな教師だったのです!
学園を荒らす不良どもには、きついお仕置きとばかりにマグナムを懐から取り出して、「じゃかましい!!」と脅迫!
黒岩先生の活躍?によって、一時的に学園は平穏を取り戻すのですが、そこへナチスみたいな格好した最強のアウトサイダーな生徒がやってきまして、教師はみんな拷問にあったりします。黒岩先生もボコられて、なんと殺されてしまいます!
主役が殺されちゃうんです!!
で、校庭の片隅にお墓が作られるんですけど、何故だか突然、大爆発をおこします!
すると、爆炎の中から、マッドマックスそのまんまなバトルジャケットと革パン、そして横山やすし師匠にはデカすぎてまったく似合っていないブカブカのヘルメット姿という、素晴らしすぎるストロング・ファッションに身を包んだ黒岩先生が蘇ります!
死んだのにどうして?とか、その戦闘スタイルはどこから?とかの疑問には答えてはくれません。
愛銃ビッグマグナムをかまえた黒岩先生は、そこからいきなり運動神経ばつぐんなアクションを披露!
ゴロゴロゴロ~と地面を転がりながらマグナムを乱射!
敵のバイクを奪って爆走!
一応、生徒のはずの悪ガキどもを火炙りにします!
いま、学園は戦場と化した!!

不良のボスをぶちのめした黒岩先生は、おいしい生徒役の木村一八(師匠の息子)と心の交流をはたし、次の赴任地へと去ってゆくのでした。
ありがとう!黒岩先生!ありがとう!やすし師匠!

学園が戦場と化すような荒唐無稽な映画は、洋画でも「トイソルジャー」や「処刑教室」、邦画だと「Vマドンナ大戦争」という大珍作がありますが、本作はとにもかくにもやすし師匠の演技力ゼロでありながら黒岩先生は俺しか出来ない!みたいな存在感だけはバリバリなところが魅力。

脇を固めるキャスト陣も無駄にゴージャスで、よしもと関係からお笑い関係、ミュージシャン関係など、なんでこの人出ているんだ?って俳優や芸人たちが一様に変な役柄に挑戦しています。みんな、やすし師匠に脅かされていたんじゃないかと勘ぐってしまいます。
なにせ、黒岩先生を地でいくような、破天荒で過激な人だったらしいですから・・・。

この頃の邦画の無茶ぶりには、本当に頭が下がりますねえ。
よくもまあ、文部省から苦情がこなかったものです。
でも、あのトンデモ映画の最右翼である「ノストラダムスの大予言」を推薦映画にしてしまうようなところですから、何か勘違いしてしまったのかもしれません!


劇場にて