髙橋佑弥

定職/就職の髙橋佑弥のレビュー・感想・評価

定職/就職(1961年製作の映画)
4.5
傑作。人生ベスト。もはや恐怖映画…やるせなさすぎて泣く。就職後でありつつ"定位置"を得る前…という最後のモラトリアム=執行猶予。中盤に描かれる先輩社員たちの人生が示す、主人公の未来(の可能性)…。机を得る契機が"死"というのも暗示的。就職した…席についた…そして瞬く間に人生は終わる。

就職試験中に出会い、束の間の"休憩時間"ロマンスで心の底からゾッコンになった想い人から、就職後ひさびさに廊下で再開した折に「大晦日のパーティで会いましょ」のお誘い…しかし彼女は来なかった…の後の、なんだかんだ"身の丈をまきまえて"自分を騙し騙し楽しもうとし、結果それなりに楽しむ虚無…。

本作の息詰まる感じ…ジャームッシュ『デッドマン』も思い出したり。あれは序盤だけだが…でも個人的にはその不条理就職パートが特出しているという認識の映画。コートへの憧れ…という共通項では、ユスターシュ『サンタクロースの眼は青い』も。

2020/07/03
髙橋佑弥

髙橋佑弥