ぴろぴろ

ルームのぴろぴろのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.4
ジョイしかり、ジョイの母親しかり、女性の警官しかり、今作には「女」性というか「母」性を感じた。 そして同時に「父」性も。 実父ゆえ、複雑で苦々しい思い、義理の父だからこその全体を見つめられる冷静さ。 義理の父の存在はジャックにとっても心強い。
人の自由を奪い、2人の尊い人生を狂わせた犯人の罪深さ。 被害者がやっと救出されてハッピーエンドでは無く、その後も苦しみが続く様子に胸が痛む。 多分、当事者も解放されて「めでたしめでたし」だと信じていたんだろうなぁ。 抜け殻になる心の不安定さにジョイの傷の深さが見える。 聞いてる方は仕事として聞いてるんだろうけど、一つの質問や言葉が、当事者にとっては自分が責められている様な、悪意を感じる気持ちになる。 当事者じゃなくても感じたもんなぁ。
あの「ルーム」で、初産で、たった1人で子供を産み育てる事が、どれだけ壮絶な事か。 ジャックがどんなに幼くたって、ジョイには どんなモノより勇気も元気もくれる宝物。
海の上で生まれ海の上しか知らない「海の上のピアニスト」は陸に下りることが出来なかった。 勇気を振り絞って尊厳を勝ち取ったジョイとジャックには普通の幸せを感じて生きて行って欲しい。

「グッバイ、ルーム」
そこからがリスタートだ。
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