ドアを1つずつ開く
小さな「部屋」に7年間監禁されたジョイと、その間に生まれた5歳の息子ジャック。監禁生活が限界に達し、ジョイはジャックに外の「世界」の存在を伝え、母を救って欲しいと伝えるが
公開時に劇場で泣き、2度目の鑑賞でレビューを。点数は変えてません
王道で奇を衒った演出はないのだけれど、それをやりきってとてもパワフルな一本になっている。脚本と役者と音楽と色。
以下、少しネタバレ含みます
映画のほぼ真ん中で物語が分かれる。前半は緊張感が漂う一方で、ジャックにとって「世界」がどう見えているかどう知覚しているかうまく刷り込まれる。小さな「部屋」で外側の存在に気づく契機(例えばネズミ)はありそうだけれど、理解はできていない。あらゆる面で未分化なのがよく伝わる。
後半に入ってもなかなか緊張感は解けないし、むしろ後半の方が辛い。レオとジャックとのやりとりで弛緩する方向を見せといて、ポジティブになるかなと思いきや。世界はジョイと同じような時間を過ごしていない。周囲の大人に悪意がなくても傷ついてしまう。1枚の扉を破ったら万事うまくいくかと思ったら、たくさんの壁があってなかなか外に出られない
しつこく映される扉を１つずつジャックが開いて外側へと繋がっていく様子がもう泣けるんですよね。
ジャックを演じたジェイコブトレンブレイ君は文句なし。信じてた世界が動揺した瞬間の表情がすごい。とはいえ、やっぱりブリーラーソン、あんたが大将(何様)。この世界の広さも狭さも優しさも辛さも全部眼で伝えられるような力強さ。これはすげえ...
ジョイの父ロバートを演じたウィリアムメイシーの眼の演技も良かった。ジョイの母とレオは文句なし。2人とジャックのやりとりが愛おしすぎます
世界の中で何を見ているか、何を見たいか、何が見えていないか、を表現する上でどの役者さんも視線の行く先をコントロールされていたと思います
