なっちゃん

帰ってきたヒトラーのなっちゃんのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.9

現代先進国の国民すべてに必要な映画。
ドイツにしか撮れない傑作でした。

ヒトラーについて私はほとんど何も知らなくて、ただただ歴史上極悪の戦犯なんよな〜みたいなイメージしか持ってませんでした。理解不能なサイコパスモンスターみたいな。

でも実際そうじゃなくて、ヒトラーも1人の人間やったんよね。しかも、当時から民主主義があって、ヒトラー自身も民主主義を推してたから、民主主義によってヒトラーは"選ばれた"訳です。

敗戦国ドイツ(日本イタリアにも言える)からしたら、自分達が犯した罪の重さを直視するのではなく、ヒトラーという怪物が民衆を扇動して、罪のない民衆はそうするしかなかった、って思いたいよね。
人間の記憶ほどあてにならんものないし、自分が罪悪感を抱かないように都合よくねじ曲げられるのが記憶よね〜。

でもこの本を読みきるためには、ヒトラーのせいではなく、ドイツ国民にも非があるということを認めないといけない。てな訳で、この話が本としてベストセラーになったドイツという国はすごい胆力があるなと思いました。

同じ敗戦国である日本国民として負けてられんな〜と思いました。ま〜虐殺とかはアメリカに情報操作されてる部分もあるかもしれんけど、劇中にあった「良いこともあった」という視点に逃げて過ちを直視しないっていうのはよくないからね〜〜気をつけたいよね〜〜

あとゲリラ撮影で、ほとんどのドイツ国民がヒトラーに好意的なのはやっぱりドイツ国民はヒトラーに共通点を見出せるからなのかなと思った。
移民についても、政治についても、ヒトラーの主張は生活のなかで腑に落ちる部分があるんよね。だからちょっと傾聴しちゃう。意志が強いし、やってくれるかも?って思っちゃう。誤解を恐れず言うと、魅力的。

あとヒトラー、ちゃんと人の話を聞いてる!人の話を遮らない!実際のヒトラーがそうだったのかはわからんけど!
政治についてどう思う?とか国民に聞いて、それがどんなに根拠なきオッサンのたわごとだったとしても否定せんしね。国民の声だから。国民あっての総統だから。ネオナチ?右翼の党には怒ってたけど(笑)

今、ヒトラーのような主導者が現れたらどうなるのか。先進国は様々な課題を抱えていて、強力な主導者を求めているような気がする。(主にアメリカのトランプ。)でもその主導者が現れたとき、盲目に従わないようにするために、良いタイミングで良い本・映画が出てきたな〜〜と思いました。
なっちゃん

なっちゃん