アドルフ・ヒトラー大総統閣下。
近年人種差別問題や戦犯問題とは隔離して、政治家として優秀な面を評価されるアドルフ・ヒトラー。今作も発表当時問題とされた難民問題などに焦点を当てて、彼のカリスマについて描写している。
ナチス問題を描写するとなるとどうにも堅苦しいストーリーになりがちだが、今作はブラックジョーク満載で腹筋の耐久力が試される。
パンツまでクリーニングするヒトラー。
愛玩犬にとことん懐かれないヒトラー。
スーパーでカートを乗り回すヒトラー。
どのカットにも諧謔が効いていて、けれどよくよく考えたらとんでもなく危機的な状況というのが魅力的。
それを象徴するようにラストの10分間のヒトラーは歴史的悪人とされる怪物的な表情が真に迫っており、ただのブラックジョーク映画とは笑えない道徳的な問題も孕んでいる。
ニコニコ動画(β)を知っている世代からすると、例のあのシーンをがっつりパロディしているシーンには笑うしかない。みんなも『ヒトラー 〜最後の12日間〜』も見よう。