いののん

帰ってきたヒトラーのいののんのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
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困っちゃったなぁ。
本当に困っちゃった。

この映画はとんでもないくらいの傑作だと思うんだけど、その理由をうまく説明できる力が私にはない。力およばず。

この映画について自分の考えを語るのはとても難しい。
誤解を受けるかもと恐れてしまうと、
武装に武装を重ね、
ダラダラと言い訳だけに終始することになる。
それはちょっとなあ。

と書き始めたら、少しだけ見えてきました。

この映画は、誤解されることを恐れない、勇気ある映画だと思う。きっと、批判されることも覚悟のうえでの製作なのでしょう。

でも、最後の最後まで観てくれたら、
我々(制作者側)の真意は観客に伝わるはず。と、
観客を信じてくれている映画でもあると思う。
そんな気がする。それがうれしい。


私(たち)が追い求める民主主義は、
本来、面倒くさいもののはずだ。

でも、私(たち)は面倒くさがりやで、
わかりやすい指導者を求めてしまう。
わかりやすい言葉。力強い言葉。
“私なら、複雑に見える様々な問題を、
簡単に解決できます!”
“あなたの抱える不満はごもっとも!”
“だから私に全権を委任してください!
私にお任せを!”
そんな風に断言されたら、
ふらふらっとなびいてしまう。
自らの思考は停止させて。
だってその方が楽なんだもん。

いかん、いかん。そんなんじゃ、ダメなんだ。
目を覚まさなければ。
面倒くさいことを自分で引き受けなくては。
その覚悟が、きっと必要なんだと思う。


面倒くささを手放さない。
私は、私自身に対して、そう言おうと思います。
まずは、ちゃんと目の前の人に優しくなりたい。
いののん

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