ゆうぴょん

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のゆうぴょんのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

 なかなか良かった。ジョンの側に、手紙に関係する描写が全くないから、ほんとにルパートの創作なのかと思ったけど。最後にそんなことなかったって分かって、一安心。
 このお話は、全般的に「どう他人と分かり合うか」というところを、繰り返し描いてた気がする。母と子、教師と教え子、記者と俳優…。「違う惑星から来たと思ってる?」と、作中で2回登場するセリフが、それを表しているのかな。
 たしかに、分かり合えない部分はある。一生分からないことはある。でも、だからといって、分かろうとすることを投げ出してしまっては、そこに繋がる手綱を手離してしまったら、本当に違う星の人同士になってしまうんだろうな。
 特に、才能あふれる尖った、でもまだ幼い人たちにとっては、そこを諦めてしまいがちなんだろう。そのことを、母親の愛情に支えられ、よき導き手に出合うことで気づけたルパートと、自分をすり減らして最期にようやく気づいたジョンの対比が、もの悲しくもあり、じんわりきた。
 ジョンの生い立ちは少ししか描かれていなかったけど、彼にもよき導き手が居れば、こんなことにはなってなかったのかもしれない。
 ジュディガーランドの映画もそうだけど、これは芸能界だけじゃなくて、あらゆる仕事で、早くから自分で歩かなくてはいけなかった人の孤独は、どうやって埋めればいいんだろうか。
 あんまり見えにくいけど、実は深刻な社会問題だと思う。芸能界は特殊な世界だからという免罪符で片付けられない問題だと思うな(昨今の芸能人の自殺が続いているのも、その一端かもしれない)。
 最後のシーンは、才能溢れながらも若くしてこの世を去った、全ての若手俳優たちへの鎮魂の意味があるのかな。
 爽やかなラストシーンに、少しだけ胸が楽になった。
ゆうぴょん

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