ユウサク

ノー・エスケープ 自由への国境のユウサクのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

アルフォンソ・キュアロンの息子、ホナス・キュアロンが監督で、「ゼロ・グラビティ」の下敷きになった作品。

めちゃくちゃ好みの映画だった。
じっわ〜〜〜と現れ、そして消えていくタイトル、遠景にぽつんと見える被写体の小ささ、日没と共に暗転していくエンドクレジットと劇伴など映像の味付けがとても良い。
そして「人間狩り」映画の中でも「狩る」側の造形がほぼ完璧なんじゃないかと思う。何か強い意思があるとか依頼されてとかではなく「ぼんやりとした義務感」から不法移民は殺さないといけないと思っている男。ターゲット発見から殺害への移行がこんなに淀みない殺人鬼は初めて見た。現実にいるサイコパスという感じ。撃ち殺した後の喜び方も、アメリカのドキュメンタリーとか見てたら人型のターゲットや「ブラック・クランズマン」に出てきたアフリカンを模したターゲットを撃って「よっしゃ〜、殺してやったぜ」とか言ってる白人をよく見るのでその延長線上な感じも最悪で最高だった。
南軍旗を掲げ砂まみれのピックアップトラックに乗り酒を飲み銃を持って「本当ここは熱っちいな〜、やってらんねえよ!」などと犬に話しかける「よくいる人種差別主義のアメリカ人」なのが良い。この男の背景を描き過ぎないことが成功の要因だと思う。よく躾けられていて愛情も注いでいる犬に「トラッカー(追跡者)」という物のような名前をつけているところも恐ろしいし、もう長くはないと分かった瞬間の潔ささえ気味が悪く思えてくる。「ウォーキングデッド」見てないけどニーガンというやつがヤバいのは知ってるので、この人が演じるならめちゃくちゃヤバいんだろうなと想像できる。

ストーリー内容はめちゃくちゃソリッドなので飽きそうになるけど88分と時間もソリッドなので大丈夫。程よく暇な時にオススメ。
ユウサク

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