ぐ

メッセージのぐのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

すごい作品を観た。
時間の仕掛けが作品のテーマに繋がっていて、トリックに意味があり鍵である作品。
視聴者の思い込みを利用しているのも巧いし、「動物と話すパパとママ」で回収するのも巧い。
原作が結構違う(言語より物理学の方がメイン?)らしいので読みたい。

なぜ時間は一方向にしか進まないのか?という疑問に、言語や文字に焦点を当てて考えるという新しすぎる面白い切り口。
我々の文字には一方向の流れが存在していて、前後が決まっているが、ヘプタポッドの文字は円形で始まりと終わりがない。
他にも主人公の娘の名前が回文だったりと文字の設定への細かいこだわりがすごい。あと円の文字というデザインがちょっと最高すぎる。
特に三次元である人間が二次元(平面)に文字を書くように、おそらく四次元の生物であるヘプタポッドが三次元(立体)でベクトルや空間にも意味のある文字を書いていると気づいた時に震えた。

ヘプタポッドの言語や文字が違って意思疎通が困難なのは、こっち側が困難というだけな気がするけどどうなんだろ。文字通り次元が違うであろう生物を、三次元の人間が正確に理解または認識できるとは思えないんだよな。
その次元を超えた理解や認識を補佐するのが、ヘプタポッドの文字の役割なんだと思った(文字だけは三次元なので)。だから、主人公は少しずつその感覚を認識できていってるのかなと。
どんな理由にせよ、徐々に意思疎通できるようになる過程が描写されているからか、とにかくヘプタポッドがめっちゃかわいい。

一応時間について。
この作品ではタイムパラドックスというか、矛盾は感じなかった。
中国の攻撃を止めるための電話番号も、確実に止まる言葉も知らない過去の主人公が、未来のパーティーではじめて得た情報を過去に利用する。
これは普通の作品なら完全に矛盾になるんだけど、この作品の時間は一方向の流れで動いていない。
さらに過去と現在と未来の前後の区別もない円形で、おそらく線でもない。それぞれの時間が点としてバラバラに存在して、それらには順序がない考えるのが一番しっくりくる。
円形であるということは、過去や未来を変えることはできず、不変であると言える。
感覚は知覚した本人の認識に影響するっぽいので、ヘプタポッドと同じように始まりから終わりまでの時間を認識できた時点で、未来を変えようとする考えはなくなると思われる。
ぐ