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メッセージの教授のレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
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現代の映画表現の最先端はドゥニ・ヴィルヌーヴなんだなぁと痛感。

これまでも様々なジャンルの映画を撮り続けてきたが、本作はSF超大作。
しかし、非常に抑制された展開。抑制された雰囲気で、大きな出来事が起きている割に、画面上はひどく淡々としている。

人間とか、世界とか、森羅万象の大前提には「時間」という概念に逆らうことができない。
という大前提をひっくり返して、その逆らえないものを大前提にして現代を救う。
という「新概念」のために、あらゆるこれらの要素が活きてくる。

未来に起こることは希望ばかりではないということ。その未来がはっきりとは見えてなくても、本作のような「映画の中」じゃなくても、僕たちの現実の世界だってそれなりに想像がついたりするものだ。

だから、未来を見通して。現在の不安の延長にある未来や安易な決断の先にあるものから、悲観的な未来を想像して、誤った決断をしてしまう。

そしてその未来から、現在を救う、ということに気付くプロセスが「言葉」であり、「対話」だと説く。
それを説明的な描写はなく。
まさにSF的設定の物語によって語り切っている傑作。

現代はヴィルヌーヴの時代なんだって痛感の一作。
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