TaichiShiraishi

アントマン&ワスプのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

さすがのマーベルクオリティ。そしてSFとしても今年1番センスオブワンダーに溢れた一作だった。
ていうか
ヒーロー映画としても
アクション映画としても
コメディ映画としても
SF映画としても
ほぼほぼ完璧に近い出来では?

アントマンシリーズならではの物や人の拡大縮小の工夫を活かした見せ場も超楽しいし、
今回はスコットだけじゃなくホープもピム博士もルイスもルイスの子分もキャシーもみんなそれぞれ活躍してキャラに合った見せ場もあるのが嬉しい。


そして行方不明になったホープの母ジャネット役に元祖キャットウーマンのミシェル・ファイファーを持ってくるのが憎い。
ていうかマイケルキートンもファイファーもマーベル参戦したんだからダニー・デビートも悪役とかで出て欲しいな。バットマンリターンズ全員DCから寝返ったら最高笑。

新キャラのゴーストの能力もワンピースのロギア系能力者の実写版みたいで面白かった。
後は憎めない悪党を演じさせたら天下一品のウォルトン・コギンズに強面封印のローレス・フィッシュバーンもさすがの名演。

今回は圧倒的な悪役がいない代わりにナノ技術の奪い合いの話になってて、続夕陽のガンマンみたいな三つ巴チェイスもあり、マーベルとしては新食感。そして誰も死なないソフトな着地もお見事。

コメディ俳優としてポールラッドとマイケルペーニャはさすがの実力発揮。ペーニャの話の要点が掴めない説明ギャグは前作に引き続き最高だし、スコットがジャネットに乗り移られて母性たっぷりの顔になるところも超笑った


そしてクライマックス
サンフランシスコの高低差の激しい坂道を利用したラボ奪い合いのカーチェイスと、超小型化して素粒子の世界に行ったピム博士の描写が交互に描かれる。

サンフランシスコの坂道カーチェイスはもちろんマックイーンの「ブリット」のオマージュだし、
どんどん小型化して見たことないような世界に吸い込まれて陶然としていく描写は「2001年宇宙の旅」のスターゲートのオマージュだと思う。
特にこの世の果てのような場所に行って、
急に自分がかつていた場所の幻覚を見るっていうのはもろに2001年だし、スターゲート的空間から帰ってきたジャネットが人智を超えた力を身につけてるのも2001年のスターチャイルドっぽい。

ブリットも2001年宇宙の旅もどちらも1968年で今年で制作50周年。
そしてブリットは初めて本格カーチェイスを取り入れてアクション映画の歴史を変えた作品だし、2001年は初めての本格宇宙描写に高度な科学解釈を加えてSFの地位を一気に押し上げた歴史的一作。

アクションとSFの歴史を変えた50年前の作品を同時にオマージュして、さらにアントマンならではの要素を加えて超楽しい見せ場にするとは恐るべし。


そしてエンドクレジットは劇中の場面ダイジェストをミニチュアで再現してくれるというサービス精神。そしてこれまでのSF映画の歴史への敬意も感じる素晴らしい工夫でした。


ちょっと残念だったのはやっぱりアベンジャーズ関連作だけあって最後の最後はあの件とは無関係でいられなかったこと。やっぱり完全にスッキリしては帰れないよなあ。
そしてMCUは一作でも見逃したら最早話についていけなくなるのはより明白になった。
TaichiShiraishi

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