曇天

アントマン&ワスプの曇天のレビュー・感想・評価

アントマン&ワスプ(2018年製作の映画)
4.0
『インフィニティ・ウォー』を観てないので粗筋理解が追いつかなかったなあと思ってたら、しっかり観ていた『シビルウォー』後だと鑑賞後に知り、自分の理解力がないだけだった曇天的レビュー2018年10本目。

同じコメディタッチのアメコミ映画『デッドプール』と比べてもこっちは全年齢OKのファミリー向け。なんだけど大人もちゃんと笑えるギャグが多くて楽しかった。ニッチな成人向けギャグよりも客席の笑い声も多くて、日本にウケるのはこっちなんだなと思った。


今回の目的は前作のような悪党を倒すことではなく、死んだと思われていた母親の救出。目的がアベンジャーズ的ではなく小規模。そのために大仰なセット…じゃなくてミクロの世界に行く機械を作ってて、どこにそんな資金があった?と思ってしまった。

それにお母さんが小さくなった話はあれで死んじゃったからこそ美談なんであって、「家族を守るために死ぬ覚悟をすることが尊い」というシーンだから、生きていて救出可能となるとその意味も薄まり、SFの世界観的にもタブーがなくなって何でもアリになっちゃうなぁと懸念が収まらなかった。まあ一貫して家族を守るというのがテーマだからうなずける部分もある。

多少不満点もあったが、とにかくスコット周りのギャグが冴えすぎていてそれだけで観る価値があった。今回は大きくなったり小さくなったり、だけじゃない! 今回はなんと、中途半端な大きさになる! いくら科学者親子がシリアスで行こうとしても、スコットがいるだけでシリアスにさせてはくれない。マイケル・ペーニャはギャグを挟まずにはいられない。珍しくスタン・リーのくだりもめちゃくちゃ面白い。ヒーローの世界と一般市民の世界の描き分けは『スパイダーマン/ホームカミング』でスパイダーマンを見ても驚かない通行人をちょっと思い出した。この二者の世界は意外と隔絶しているらしい。それが極まったのが本作の「キャシーのサッカーシューズ捜索事件」だった。いやぁ朝になってあるはずのものがないとそりゃパニくりますわ、エマージェンシーですわ。ああ可愛いったら。家族では元妻ではなく娘だけが「お父さんはアントマンでヒーロー」であることを知っているという設定も必要十分なニクイ要素。

泥棒仲間にメキシコ系を置いたりサンフランシスコで撮影したりするのも、リアリティというより脚本家の言う「陽気さ」を表現するものなのかもしれないと思いちょっと納得。確かに元気は出た。
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