もじゃ太郎

リメンバー・ミーのもじゃ太郎のレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
5.0
ありがとう、PIXAR!ありがとう、Disney!号泣のあまり物語の後半で画面が見れなくなることが多々あった。嗚咽を堪えるのに必死になるあまり、終わったあとドッと疲れた。飲み物が足りず喉が渇いた。ハンカチと飲み物は必須。
全体的に、「アニメ映画なのに!」と良い意味で裏切られることが多かった。

まず、エンドクレジットの最後にこの映画に込められた想いが詰まっていたと思う。物語を通じて「いつまでも語り継がれるような作品を作りたい」というメッセージが敷き詰められていたと感じた。人が死ぬのは誰からも忘れ去られてしまう時なのだ。「アニメ映画なのに!」宗教や民族の垣根を超えて感動を届けて来るところがすごい。自分も死んだあと、後世に語り継がれるような人生を過ごしたいと思ったし、親や先祖に感謝しなければならないという気持ちにさせられた。

次に、死者の世界という全くの空想の世界で説明が難しい(そして物語の根幹に関わる大事な)ギミックもあるが、ものすごいしっくりと頭に入って来る。そのギミックが「remember me」で最高のフィナーレを迎えた。そもそも、死者の世界と交信するというメキシコの(?)文化は、日本のお盆に通ずるものがあるように感じた。この映画を通して改めて思うのは、人種や宗教は違えど、同じ人間として根本には共通する普遍的な部分があるのではないか、ということだ。
余談だが、メキシコを舞台にしたのはもしかしたら大統領に対するメッセージなのかもしれないと思った。ヒスパニックが増えているとはいえ、少数派の民族を主題に据えて普遍の物語を描くあたり、憎い。

そして、死者の世界での経験を通じて、主人公ミゲルが成長していた。現実世界から離れて成長を描く点では『千と千尋の神隠しに』に近いが、わずか100分足らずでこの成長を実感させるところがすごい。観てる側も「この映画を観て良かった。自分も頑張ろう」と活力をもらえた。

これは推測だが、ギターを弾く仕草や音に拘っていたと思う。音楽映画では実写になると手元の動きを見ていると弾けていないことが明白でがっかりすることがある。この映画では演奏シーンであえて手元を綺麗に写しているが、手元で鳴らしている音はおそらく実際に弾くべきところだった。だから。「アニメ映画なのに!」全く違和感がなかった。実際の演奏を映像で撮ったりしてアニメ化しているのかなと思われる。

観終わったあとで気づいた残念な点は、米原題と日本版のポスター。これは、米ポスターと日本版タイトルにするべきか。あるいは、余韻に浸らせる効果を狙っているのか。