真田ピロシキ

葛城事件の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

葛城事件(2016年製作の映画)
4.3
「俺が一体何をした」という三浦友和の台詞は紛れもなく本音。一国一城の主として立派な家を持ち家族を養ってきた彼には家族が破滅してもその理由は全く理解できない。家長としての責務は果たしていると信じて疑わないのだから。内心好きじゃない夫と連れ添ってきた妻、大黒柱であろうとしてリストラされても誰にも話せなかった長男、父と兄を見返すことが目的だった次男、誰も彼もがこうあるべき自分の姿に囚われてしまった末に破綻する呪いの家族映画。こういう歪みは程度の差こそあれ現実に割とあるんだろう。