コーディー

ハッピーエンドのコーディーのレビュー・感想・評価

ハッピーエンド(2017年製作の映画)
3.8
なんとなくハネケ監督にしては変態性弱めというかネットやSNSの急速な蔓延による希薄になりつつある現代家族のあり方って言うシンプルな問題提起。けどやっぱオープニングから独特な意地悪な切り口と居心地の悪さは健在。

フランス北部の邸宅に住む裕福なロラン家。そこに離れて暮らしていた長男の前妻との間の娘がある事情によりやってくる。一見幸せそうやけど心が上手く通ってない家族、食事シーンひとつ取っても序盤と終盤で印象が違うしなんか居心地悪い。特に劇的に何かが起こるわけでもないしボヤけた部分も多いのにジワジワと見えてくる家族それぞれの実態に気付けばザワザワは最高潮。

十八番の長回しや多分そんなに意味ないシーンでさえも不穏な空気を煽るし、老主人ジョルジュと少女エヴの死に憑かれた者同士の共鳴も静かに怖い。ジョルジュは『愛、アムール』から役名引き継いでるってのもあるけど余計に死に覆われてる感じが強い。そんな中、イザベル・ユペールが結構おとなしいのも逆に雑念招いて面白いw
エヴ役ファンティーヌちゃんのこの歳にして滲み出る惑わす美しさも得体の知れなさにピッタリ!
わかりやすいのに掴み所なくて、不気味で不快やのにどこか滑稽。今回も感想泣かせのハネケワールドでした!もちろん好きです!