ナツミオ

騎兵隊のナツミオのレビュー・感想・評価

騎兵隊(1959年製作の映画)
4.0
WOWOW録画鑑賞
【ライフwithシネマ・知っておきたい「西部劇」の名作たち】

  “あばよ、悪党”

  “元気でな 保線夫“

初鑑賞。
南北戦争時代の史実を元に作られた、西部劇。淡いロマンスも散りばめたフォード監督作品。楽しめました。
『フェイブルマンズ』で描かれた、あの地平線も確認できた♪♪♪

西部劇スター、ジョン・ウェインが、名匠ジョン・フォード監督と組んだ本格アクション西部劇。
ウェインは南北戦争当時、部隊を率いて南軍の拠点の破壊を目指す北軍の大佐を演じた。

原題 『The Horse Soldiers』

1959年米作品カラー121分
監督 ジョン・フォード
製作 ジョン・リー・メイヒン マーティン・ラッキン
原作 ハロルド・シンクレア
脚本 ジョン・リー・メイヒン マーティン・ラッキン
撮影 ウィリアム・H・クローシア
音楽 デヴィッド・バトルフ
出演 ジョン・ウェイン ウィリアム・ホールデン コンスタンス・タワーズ アルシア・ギブソン フート・ギブソン ケン・カーティス 

翻訳者 大野隆一

(WOWOW番組内容より)
1863年、南北戦争下。劣勢に立たされた北軍のマーロウ大佐(ウェイン)は指揮を命じられた部隊を率いて、南軍の重要拠点であるニュートン駅を破壊する作戦のため、同地に向かって出発。軍医ケンドール(ホールデン)も同行するが、マーロウはかつて妻を医師の誤診で失って以来、大の医者嫌いで、2人はなかなかそりが合わない。やがて一行は南部の女性ハンナ(タワーズ)の屋敷に泊まるが、そこでハンナに作戦会議を盗聴され、仕方なく彼女を任務に同行させるが……。

(WOWOW解説より)
「駅馬車」「荒野の決闘」などで知られるフォード監督のもと、ウェインが「第十七捕虜収容所」の名優ウィリアム・ホールデンと顔合わせ。2大スターの豪華競演は、西部劇ファンならずとも楽しめる。
また、監督にとっては単独監督作として唯一の南北戦争もので、クライマックスに至るまで様々なエピソードを積み重ねる語り口。
男性たちの友情に加え、ウェインと共演のコンスタンス・タワーズによる、まるで「風と共に去りぬ」を思わせるロマンスなど、さすが黄金コンビ、ウェイン&フォードならではの堂々たる正統派西部劇に仕上がった。

ジョン・ウェイン演じる主人公マーロウ大佐は、南北戦争の戦いの一つビックスバーグの包囲戦の指揮をとったベンジャミン・グリアソン将軍(当時は大佐)がモデルになっている。

さすがのフォード監督作品。
南北戦争時代の史実をベースに色々なエピソードやロマンスも散りばめ、面白かった♪♪♪


↓ 以下ネタバレあり
【印象のシーン・セリフ】
・マーロウ率いる部隊の士官たちは皆、職業軍人でなく、元の職業も様々。
マーロウ大佐  鉄道技師
ケンドール少佐 医者
シーコード大佐 政治家
他には、俳優も

・元俳優の士官がハンナ邸での夕食時に、物資不足で甘いデザートを出せないと断るハンナに…

 ”しかし、あなたの甘さは砂糖に勝る 
  今宵の何よりのもてなし“
   
リチャード2世のセリフを引用するところも洒落ている。

・食事中、ハンナが席を立つ度に全員が何回も起立するところもコミカル。

・食後、ハンナたちを退室させ、作戦会議するマーローたちだが、マル秘作戦内容を盗み聞きされてしまう。
部屋を変えさせたハンナの策略。
ストーブの煙突を通じて盗み聞きされるがケンドールが見破り、マーローはハンナたちを仕方なく部隊に同行させる…

・反目するマーロウに医者のケンドールが言い放つセリフ
 “医者に診てもらえ”

・マーロウたちの最初の攻撃目標。
南軍の補給の要衝、ニュートン駅の攻略シーンは見もの‼️
その後の鉄道を徹底的に破壊するところも描写が細かい!
 線路のレールを火で炙り、柱に巻きつけて変形させる。また、熱したレールを池の中に放り込む。
高価な蒸気機関車にダイナマイトを仕掛け爆破。バーの酒瓶やグラスの揺れが爆発の衝撃を物語る。

・終盤、橋を渡る突撃シーン
橋の真ん中で下から狙ったカメラの両側を騎兵隊が疾走するシーンがカッコよく、アングルが面白い‼️

フォード監督得意の“地平線は上か下側”ってやつね!

・医者嫌いのマーロウ大佐と軍医ケンドール少佐の橋での別れ。
友情が芽生えた瞬間。
男たちの硬い握手が胸熱♪♪♪

 ”今度、手当ての時は…“

 “木ゴケを付けてもらう あばよ、悪党”

 ”元気でな 保線夫“

なかなか楽しめた


余談
マーロウのモデルとなったグリアソンは元々音楽教師で、南北戦争後も軍に留まり、あの有名な黒人部隊、“バッファロー・ソルジャー”の指揮官だったそう⁈
(本作のモデル、史実でのグリアソンの功績が興味深いので忘備録へ)

フォード監督は翌年この部隊を描いた『バッファロー大隊』(原題Sergeant Rutledge ,1960)を撮ったのも縁がありそう。黒人差別や裁判を扱った異色西部劇。
こちらも面白かったですよ♪♪


【忘備録】ネタバレなし
(キャスト)
・ジョン・マーロー大佐 Col.Marlowe
- 演 ジョン・ウェイン

・ヘンリー・ケンドール少佐  
Maj Kendall
- 演 ウィリアム・ホールデン

・ハンナ・ハンター Hannah
- 演 コンスタンス・タワーズ

・ルーキー Lukey
- 演 アリシア・ギブソン

・フィン・シーコード大佐
- 演 ウィリス・ボーシェイ

・グラント将軍 Gen.U.S.Grant
- 演 スタン・ジョーンズ

・ダンカー
- 演 ビンク・ラッセル

・ホッピー・ホプキンス
- 演 O・Z・ホワイトヘッド

・ヴァージル
- 演 ストローザー・マーティン

・司令官
- 演 バジル・ルイスダール

・マイルス大佐 Col.Miles
- 演 カールトン・ヤング

・リチャード・グレイ少佐
- 演 ウィリアム・レスリー

・ステファン・ハルバート将軍
- 演 ウィリアム・フォレスト

・Mrs.Buford
- 演 アンナ・リー

・Sheriff
- 演 ラッセル・シンプソン


【史実でのグリアソンの功績】
・1863年春、北軍・グラント将軍のビックスバーグ方面作戦の一部として命令された南軍領内深く主要陽動行動を行うグリアソンの襲撃を指揮。
グリアソンは第6および第7イリノイ志願騎兵連隊と第2アイオワ騎兵連隊、総勢1,700名を指揮し、4月17日にテネシー州ラグランジェを出発した。
17日以上の間に800マイル (1,280 km) を動き回り、繰り返し南軍と交戦し、2つの鉄道を使用不能にし、多くの捕虜や馬を捕獲し、大量の資産を破壊して、最終的に5月2日にルイジアナ州バトンルージュに到着した。(本作で描かれるのは到着前まで)
さらに重要なことは、グラント将軍の主力からヴィックスバーグの南軍防衛軍の注意を逸らさせたことだった。グリアソンは6月に志願兵の准将に昇進した。
(Wikipediaより)
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