emily

7s セブンスのemilyのレビュー・感想・評価

7s セブンス(2015年製作の映画)
3.7
インディーズの映画祭でグランプリを撮った映画監督のサワダは、賞金片手に大きな映画を撮ろうとした。バイト先の居酒屋でたまたま知り合った劇団の人たちが出演してくれることになり、その中にはそこそこ有名な人たちも居たので、サワダはまたとないチャンスと意気込むが、空回りし始める。力が入りすぎて、徐々にスタッフ達との間の空気が乱れ始める。極め付けは、撮ってきたデータが消えてしまった事件だ・・資金は底をつき、未完成のままお蔵入りに。3年の月日が流れ、サワダもあきらめていたのだが・・

自主映画撮影がテーマになっているので、登場人物が非常に多く、あまり世間に知られてない俳優陣を起用することで、インディーズ感が非常によく表現されている。サワダの一度成功したので、さらに大きいものを撮ろうとする自分を過信した行動とその熱は、周りの映画に対するそれとはじめから距離がある。

その絶妙な距離感が非常に説得力があり、ズレ感の描写がとても丁寧。人物が多ければ多いほど、監督との熱の差や優先順位の違いが分かりやすく、うまくいかないもどかしさがよく伝わる。映画の中で映画を演じる役者勢の演技もとても自然体で、
俳優業の切なすぎる現実もうまく切り取りしっかり埋め込んでいる。

映画が打ち切りになり、3年の月日が流れている間に、あるものは成功し、長い間続けている者は、俳優をやめていたり、過去の栄光に取りつかれている者もいる。努力だけで報われる世界ではなく、あきらめ時が分からない職業である。彼らの3年は長いようで意外と短いのかもしれない。ほとんどのものが一筋の光も見えていない状態だからこそ、3年ぶりに映画も動き出したのだろう。

誰にでもあるあの時こうしていたら・・
あの時映画が完成していたら、何かが変わっていたのか?
誰にでもある、”あの時”を思い出させる。

夢を追って諦めしてしまったもの。
まだ夢を追い続けている人。

あの時こうしていたら・・そう思った瞬間が動き時。
しっかり夢にけじめをつけないと前向いては進めない。
大人になっても何歳になってもいつだって、夢みたいし
夢中になりたい。かなうかかなわないかではない、夢を
追ってる瞬間が楽しいのだ。

もう一度あの瞬間を・・あなたの夢は何ですか?その夢はかないましたか?挫折も苦悩も味わった大人にこそ見てほしい青春物語。
emily

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