カーネル

ケンとカズのカーネルのレビュー・感想・評価

ケンとカズ(2015年製作の映画)
4.0
2016-9-9にユーロスペースで鑑賞。
上映最終日に思いつきで突撃したら、予定にはなかったのに小路監督、カトウシンスケ、毎熊克哉、藤原季節他総勢10名程が壇上に突如現れティーチインのようになった。その後監督、カトウ、毎熊の3氏がお見送りしてくれて、握手やサインにも快く応じてくれた。あれから5年。この中では毎熊克哉と藤原季節の露出がかなり増えている。カトウシンスケも地味なイメージは否めないが手堅い作品で確実に存在感を示している。
今回『孤狼の血Level2』でも主要キャストに入った毎熊克哉の初々しかった頃を思い出して再度鑑賞した。

完全オリジナルで国際映画祭で賞を取ったのだから推して知るべしの実力作品。
ジャパニーズ・ノワールの中でもかなり上位にランク付けされるはずだ。
ひたすら闇に向かって生きざるを得ない若者達の救いようのない日々と未来。
暴力シーンのインパクトも上々だし
覚醒剤の密売や精製など結構攻めたモチーフと映像は価値あるものだろう。
そんなストーリにも親子や家族の顔も見ることはできるのだがそれでも物語には、一筋の光も、全く見えない。
終盤にある淡い光の中の母と子も、決して明るい未来の光には包まれない。
見えるのは沈みゆく先の暗闇だけだ。
だから上映後の突如現れた若者集団のキラキラした若さとエネルギッシュなオーラのギャップが今だに忘れられない。

ケンを演じたのがカトウシンスケであるのが今思うと興味深い。あの頃はカトウも今よりシャープな感じで、ギラリとした瞬間が怖いくらいで実にいい顔だった。今なら毎熊克哉がキャスティングされそうだがこの頃は毎熊克哉はまだ若さが勝っていた気がする。その分母への息子としての心情を切ない表情で体現していたのが印象的だった。
そして藤原季節である。主役に負けないいい芝居だったと今でも思う。二人よりも若いがその若さと器用さで映画のみならず舞台やテレビでもキャリアを積み現在はかなりメジャーな俳優となって嬉しい限りだ。
全くの無名だった20代新進気鋭の小路監督もその後テレビドラマを手掛けたり、活躍を続けている。

公開時〝スタッフ・キャスト全員新人〟というコピーがあったと記憶しているがそろそろ再集結してくれないかなー!
カーネル

カーネル