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パティーとの二十一夜のnagashingのレビュー・感想・評価

パティーとの二十一夜(2015年製作の映画)
4.0
とんでもなくおもしろい。「Got My Mojo Working」(だったはず)の不穏でヘヴィーなカバーからはじまり、生もしくは性という主題をつらぬきつつも、ホラー、ミステリー、コメディと自在にジャンルを横断しながら、最終的にはハートウォーミングな家族のバカンスへと着地してしまう。クライマックスの高揚感とその予想外すぎる跳躍がすばらしい。闇、森、幽霊というとりあわせはアピチャッポンあたりにもつうじるところがあるし、それに祭りと踊りと雷がくわわれば現実を逸脱しないはずがないだろう。多様な生(性)のありかたをふくむ自然の営みにぴったりと寄りそうことで、イザベル・カレのこころとからだは解(開)放され、昼と夜の変転、異界の侵食と秩序の回復をつうじて、彼女の世界にもバランスがもたらされる。神話的にはむしろオードソックスな筋立てであり、その必然とも奇跡とも思えるような二重性がたまらなく好みであった。そして娘ふたりは最高に可愛らしく、旦那への手コキは最高にほほえましい。
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