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灼熱/灼熱の太陽のものレビュー・感想・評価

灼熱/灼熱の太陽(2015年製作の映画)
4.5
クロアチアとセルビアの紛争についてはよく分からないです。知っているともっと楽しめると思います。

平和ぼけした私は、彼の国の戦争の状況を画面越しに眺め、戦争早く終われば良いね…値上げは嫌だな…と単純に考えてしまいますが、戦争がなかなか終わらないのは、負け=国そのものが消滅するに等しい、だから、そんな単純に止められないのかな、と思います。

この映画は演者は同じ、役柄と時代が変わるという内容です。
愛し合ってはいても敵国同士のふたり、周囲からは反対され、憎悪の対象にまでなってしまう。
強烈に惹かれてしまう男、でも彼は兄を殺した敵国の国籍を持つ男。
戦争が終わっても、親世代は憎しみあっていて、かつての敵国同士の恋人たちは結ばれず…

戦争に翻弄される一市民たち。愛さえあれば何とか…ならない。想いだけでは身を護れない。

憎むべきは戦争そのものなのだろうけど、自分の生死が脅かされる恐怖から手っ取り早く逃れるには、目の前にいる敵国というアイコンを付けた誰かを、なぎ倒さなければならないのでしょう。

常に緊張し、攻撃的にならざるを得ない環境に身を置いている人びとが、画面越しにではなく、実際にいる。早く心休まる時が訪れて欲しい…何だか自分がすごく恵まれているようで申し訳ない…と、平和について半日くらいは考えさせてくれる、貴重な映画でした。
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