灼熱/灼熱の太陽の作品情報・感想・評価

灼熱/灼熱の太陽2015年製作の映画)

ZVIZDAN/The High Sun

上映日:2016年11月19日

製作国:

上映時間:123分

3.7

あらすじ

バルカン半島の隣り合う村を舞台に展開する3つの愛の物語。1991年のクロアチア紛争の時代を皮切りに、2001年、2011年と10年おきに設定を変え、地域に根深く染み付いた民族間の憎しみの感情と、その先にあるべき希望を描いていく。

「灼熱/灼熱の太陽」に投稿された感想・評価

fujiK

fujiKの感想・評価

2.5
折り合い、許し、時、そして可能性?
どう起こってきた歴史を抱えていきるのだろう。
けっこう難しい映画で根気がいった。憎しみと愛というやり腐られたテーマを、民族分断をモチーフに再考。3つの時代を通して描く、というのも斬新なあり方か。
クロアチア紛争勃発直前の1991年に始まり、2001年、2011年の、3つ時代を舞台に、同じ俳優が各々3役をこなして作り上げた異色の作品。

普通、複数の時代を描いた映画の場合は、ストーリーが繋がっていて、1人の役者が特殊メイク等で老化を表現したり、場合によってはその年齢に見合った俳優にバトンタッチして描くのだが、そもそもこの作品は発想が全く逆で、3つの時代はクロアチアの社会情勢と言う一貫した背景以外は、全く別の物語になっていて、登場人物も別人の設定になっている。

ただ、全く別の物語で別人という設定でありながら、同じ俳優が演じている事で、僕は関連性を感じながら観てしまった。それは東ヨーロッパに残る戦争の後遺症のような物で、つまり製作陣が表現したかったのはそこだったように思えてならない。やや不親切で難解な作品ではあるけれど、カンヌで「ある視点」賞を受賞したのも頷ける力作だと思う。

先日鑑賞した「ライフ・イズ・ミラクル」も同時代の東ヨーロッパを舞台にした作品だった。「ライフ・イズ~」同様、本作も女性の自由奔放な生き様が印象に残る。男を愛して、泣いて、喚いて、、、時にそれは不恰好にも見えるんだけど、最近の日本の映画ではあまり見かけなくなってしまった女性像で、何だかとても眩しかった。
ILC

ILCの感想・評価

4.5
良いショットがたくさんある。意味あり気なショットや暗示が散りばめられてるけど、自然体に映ってたからそれらの意図がハッキリわからなくてもすんなり観れた。あとガチガチの紛争物ではないから観やすい。
Aya

Ayaの感想・評価

3.3
これ、1991年、2001年、2011年と10年おきにそれぞれの登場人物のセルビアとクロアチアの若者の青春を描いた作品なのですが、同じ役者さんがそれぞれのパートで違う人を演じてるんですよ!

えっ?!同じ人か娘とか息子とかそういう設定??とかぱっと見思うじゃないですか?
違うの!違うキャラクタークォ同じ俳優さんが演じてるの!!
2011年になってからひょっとして・・・って気づいたんだよw

1991年。
恋人との別れ・・・抗えない戦争の始まりの中一生懸命生きよう、愛いそうとする若者たち。

2001年
母と帰ってきた故郷で兄の敵であるクロアチア人の修理工に惹かれる少女。

2011年。
これからの生き方を思念する大学生。

皆、今を、一生懸命生きてる。
民族がどう、戦争がどう、という取り除き難く彼ら自身がどうにもできない自体が彼らの心を、人生をどれほど曲げてしまうのか・・・。

灼熱とは良いタイトルだと思いました。

haru

haruの感想・評価

4.0
広大な自然と人工物の枠
戦争の暴力性と愛はいつの時代も変わらない
クロアチア紛争を題材にした、3つの時代と2つの民族の物語。
映像観るだけでもいいくらい光の取り入れ方が好き。
ヨーロッパの小国の映画によく見受けられる、予算よりも技術とか発想による魅せ方を重視する姿勢なかなか良い。
柴猫

柴猫の感想・評価

3.3
ユーゴ紛争の一つであるクロアチア紛争の直前、紛争終結後、さらにその後という3つの時代を均等に時間をさいて描く。
それぞれが直接繋がり物語として収束するわけではないのだが、それぞれの時代を同じ役者が演じていたりと中々に面白い演出と構成。

「暴力や差別、憎しみの歴史に打ち勝てるのは、人間に備わる愛の力だけなのです。」
この言葉に惹かれてみたのだが、自分の中での「愛」とは少し違った。

一方で公式サイトの充実具合が凄い。
藤村博之先生による映画の背景の説明や製作者へのインタビューなど見てない人にも見て欲しいレベル。
この問題をきちんと考えて欲しいし、伝えたいという思いが伝わってくる。

「クロアチアの人々は、1991年から95年にかけて闘われた戦争を「独立戦争」と呼んでいる。日本人は、外国のメディアがcivil warという表現を使ったこともあって「ユーゴの内戦」と表現することがあるが、それはクロアチア人の認識と全く異なっている。クロアチア人とあの戦争について話すときは、決してcivil warという表現を使ってはならない。「内戦」と言ったとたんにそっぽを向かれ、それ以上の会話は成り立たなくなるであろう。それくらい、つらく悲しい体験であった。」
おぼろげに面白かった記憶だけ残っている。3つのエピソードに引き込まれた。もう一度観よう…。
珍しい設定だ。
同じ役者が3つのストーリーで3役演じるクロアチアのラブストーリー。
胸に迫る作品だった。
戦争による憎しみを乗り越えられない隣人たち。
人間の営みのしんどさが描かれているけれど、悲観的なだけのお話じゃない。
彼らに向けられる眼差しは温かく、力強い。
ラストに一筋の光が見えたよ。うん、いい幕引きだ。
>|