アキラナウェイ

胸騒ぎのシチリアのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

胸騒ぎのシチリア(2015年製作の映画)
3.6
イタリア語で"vaffanculo(ヴァッファンクーロ)"は"クソくらえ"。

湿度ムンムンで、連日最高気温が人の体温を超える日本。ほら、部活動で亡くなってしまう子供まで出て来る始末。ウチの息子もこんなクッソ暑い中野球をやらされているのはどう考えてもおかしい。

に比べて、この地中海を臨むシチリアという、湿度の低い美しいロケーションのバケーションのインプレッションは素晴らし過ぎる。

声帯の手術を受けた世界的なロックスター、マリアン(ティルダ・スウィントン)は、恋人のポール(マティアス・スーナールツ)とシチリアの孤島で静養していた。しかしそこへ元恋人の男ハリー(レイフ・ファインズ)が娘のペン(ダコタ・ジョンソン)を連れて押しかけてくる。

かくしてマリアンの静寂のバカンスは、騒々しいポールの登場により、次第に掻き乱されていく—— 。

4人の男女が奏でる不協和音。

後で知ったけど、1968年のフランス映画「太陽が知っている」のリメイクなんだそうな。

声が出せない、出せても掠れた囁き声のティルダ様の演技が素晴らしい。

よく似ているマッツ・ミケルセンとヴィゴ・モーテンセンの三つ子の弟だと言われたら信じてしまうマティアス・スーナルツ。モチのロンでイケのメンだ。

そして、誰が素晴らしいって、絶妙に喧しくてウザいレイフ・ファインズよ。紳士の印象だったけど、とんでもない。よく脱ぐし。

そして、若さと美しさが同居中のペンを演じるダコタ・ジョンソンには目を奪われっぱなし。

ま、この男女が開放的なシチリアの太陽の下で何をしでかすかというと、予想通りの展開でしかないんだけど。

以下胸騒ぎのネタバレ。










ハリーとポールが繰り広げる、プールの中の格闘から、ハリーが息絶え、空撮で捉えるまでの長回しが素晴らしい。

罪の意識に苛まれるポール。

「昨日ノ出来事ヲ見テイタゾ」と言わんばかりに、様々な石像が映し出されるショットが印象的。

ペンとの別れ際に痛烈な平手打ちを喰らわせるマリアンには胸スカ。

また、ラストシーンに拍子抜けとも言える可笑しなエピソードで幕切れとなり、マリアンの笑顔が締め括られる事で、この物語に湿度なんてないんだと気付かされる。

ストーリーは予想の範疇。
裸に近い格好で過ごしていたら、いずれそうなるでしょうよ。
男女なんてそんなもの。