“俺は正しいことだと信じている
自分が戦ってる相手は悪なのだと”
メキシコの麻薬カルテル、カルテルと戦う国内の自警団、麻薬の流入を防ぐアメリカの国境自警団、3つの組織の中に入り込んで撮影したドキュメンタリー。
ぐっちゃぐちゃで面白い。
登場人物にちゃんとした人間が1人もいないから、正義とは何かが問われる。
麻薬カルテルでは貧しい人々が仕方なく働き、国内の自警団は大きくなるにつれて分裂しながらカルテルに吸収され、国境警備隊には退役軍人の「正義感」だけの男が所属する。
何が正しくて何が悪いのか全く分からない。
それを3つの視点から見せられると、最終的には麻薬カルテルの一人勝ちで、「負の連鎖」は終わらないのだという絶望感に導かれる。
なんとも南米っぽい。
麻薬組織の莫大な資金力は政府にまで介入していて、誰も手出しできない。
南米の麻薬問題は我々が予想もできないほど深く、複雑だ。