おたしん

シティ・オブ・ゴッドのおたしんのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.3
これは衝撃作。
ノンフィクション小説がベースになってるということで実話なんです。
考えられない。
壮絶すぎるスラムで起こることを見れるんだけど何故か見やすかった。
ただ重苦しく残酷なだけでなく監督の撮り方とても上手です。

とは言っても荒れすぎた地域だった。
あれが日常茶飯事なんて想像できない。
いつ死んでもおかしくない毎日。
自分があの地で生まれていたらと思うと震える。
今の平和な生活に感謝。

襲撃や盗みは愚か殺人さえも軽く見られてる。
悪いことだと思ってないのが怖い。
当たり前だなんて考えるな。
その行為を重ねた回数で誇ってんの人間として終わってるぞ。
可哀想な人たち。

何より子供たちが銃を持ってる光景が悲劇。
彼らも悪事を働き撃ち殺し大人になったと自惚れる。
あの環境下じゃそうもなるのか。
反省することないんだろうな。

リトル・ゼはダントツでヤバかった。
モーテル襲撃のシーンはトラウマ。
ガキが大人撃ち殺しで笑ってた。
年を重ねるごとに悪事も重ねる。
容赦なく人を殺すけど全然かっこよくないよ?
恐れられて街を支配して満足かもしれないけど1ミリも羨ましくないね。
罪を犯すことでしか存在を証明できないのかな。
チビを撃ったシーン無理すぎた。
その子の泣き顔が見てられなかった。
こんな人間になってしまうんだから素質見え始めたガキのころに死んでてくれればって思ってしまった俺は間違ってる?
まあ彼がいなかったらいなかったで別の奴がそうなってたか。

殺人が起きない日はないような地域で見回ってる警察もすげえ。
いつ巻き込まれて死ぬかも分からんのに。
でも金で見逃したり結局同じような奴らも多くて失望しました。
そりゃあ街は変わんないよな。
キリがないっちゃないんだけどさ。

どうしたら変わるのかな。
1つ思ったのは大切な人がいるかどうか。
ベネはもともと寛大なタイプだったけど彼女ができてさらに変わろうとしてた。
リトル・ゼにも相手がいたら何か違ったかも。
同じ考え方の奴だったら意味ないけど。
そしてベネの存在めっちゃ大きかったはず。
親友からグサっと刺さる言葉もらうのは考え直すキッカケになるんじゃないかな。
てかベネが殺されたときすごい悲しんでたよね。
人の死に涙を流すことができる人間なのに自分がやってきたこと後悔しないの?
ほんとに理解不能だわ。

子供のころイタズラをするのはしょうがない。
この街ではその程度が異常だけど。
引き返せる人と突き進んでしまう人の差は何だろう。
根本の性格なのか外的要因なのか。
できるだけ早めに気づいてほしい。

悪事を働く人間でも罰を与え始末すべきタイプと手を差し伸べて助けてあげるべきタイプがいると思います。
見極めは難しいけど後者であれば立派な人間になれるはず。
この地域にもそんな子たちが混ざってると思うと一刻も早く救ってあげたいな。

序盤の兄貴たち3人組から始まりリトル・ダイスの代が台頭しラストの悪ガキたちの映像に終わる。
結局上の真似してるだけ。
終わらないんだろうなあという悲しい気持ちでした。
そしてこのスラムが神の街と呼ばれているのもまた皮肉すぎます。

まじで色々つらいシーンもあったけど映画としてもすごく面白かった!
最初と最後のシーンが重なるのも写真家の夢を目指したブスカペの行動もマネに降りかかった復讐も。
ちゃんと楽しめました!

てかティアゴがイケメン。
ティミーみたいに見えるカットあって興奮。
おたしん

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