ゆう

SCOOP!のゆうのレビュー・感想・評価

SCOOP!(2016年製作の映画)
3.0
先日、自宅に訪問販売員が訪ねて来ました。私に応対する時間がなかったため、後日来て頂き話を伺いました。特別興味もなかったので、丁重にお断りしたところ、その販売員はキレて、お前が来いって言ったから来てやったのに断るとはなんだ、と言われてしまいました。契約が取れず、焦っていて感情を高めてしまった、申し訳ないと言っていましたが。

今作は10月公開の邦画の中でも期待値の高い一本でした。もちろんとても楽しめました。しかし本作とはあまり関係のない、ある部分と、先日受けた嫌な思い出が頭の中で関連付いてしまって、自宅までの帰路は暗い気分で歩いてました。

主人公は金になりそうなものなら、あらゆる手段を講じて写真を撮る。編集部は売り上げが上がりそうなネタなら、どんな下世話なものでも採用を検討する。

私は社会で金を稼いで生きている人間ではなく、勉強さえしていれば、金を稼がず映画にどっぷり浸かっていても社会的には”異端”として見られない大学生というポジションの人間なので、金を稼ぐための大人の貪欲さのようなものに距離感を感じてしまいます。もちろん、生きていくためには何かとお金がかかるため、なんとしても稼がなくてはならないのは理解していますが。

大人の金を稼ぐことや仕事における成功を得るための必死な姿勢、沈まないようにもがく姿の一端を、今作の登場人物やあの販売員に感じました。社会にはあのような人たちも存在するのかと、一生大学生でいたいとかなり弱気な気持ちになってしまいます。

大人に比べて金にかける心労の少ない大学生が大人たちから人生の夏休みであると言われているのも納得がいく話だと思います。
ゆう

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