怨念大納言

SCOOP!の怨念大納言のネタバレレビュー・内容・結末

SCOOP!(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

いきなりカーセックスから始まる下品なパパラッチ映画。

下品でガサツで低俗で不潔な役なのに、それでもイケメン福山。

下衆な週刊誌、スクープの元エースカメラマンと、真面目でアホな新人コンビがスクープを狙う。

なんか、私の前職の上司にダブる人がいるな。
人間としてはクズだったけど、仕事は天才的。
動物として優れている事が、人間性に悪影響を及ぼす事もあるんだろう。

新人ちゃんも、芸能人つけ回したり政治家とカーチェイスしたりする仕事を最初は嫌がるものの、どんどんスクープを撮る面白さにはまって行く。

この辺はバディ物として凄く面白かったですね。
先輩後輩が、双方成長してゆく感じが。

そうして部数を少しずつ回復する中、グラビアやラーメン屋、芸能ゴシップでない、政治ネタを追う事に燃える編集部のシーンは面白かった。

現実を受け入れて、大人として日々の仕事をこなしていても、やはり夢もプライドもある。
芸能ゴシップより、デカいスクープ追いかけたいでよすね、そりゃあ。

滝藤さん演じる妖怪袋とじ男とのひと悶着だとか色々ありつつも、編集部一丸となり殺人犯の顔をスクープ!
雑誌も爆売れで、おまけに静と野火はしっかりやることやってめでたしめでたし!

で、大団円でもよかったのでしょうがさらにもうひと悶着。

クズ人間だが憎めない汚いおっさんだったチャラ源さんが、本物のクズに。
麻薬で錯乱したこのリリー・フランキーの演技は圧巻。
本当に狂人のよう。

結果、静はチャラ源に撃ち殺されるという展開に。

静が死ぬ瞬間、新人の野火ちゃんがこの瞬間をスクープ。
これを使うか使わないかで横川と馬場が大揉め。
「部数の伸びる写真を撮る」。
それが自身の仕事である事をブラさず、他人のプライバシーに土足で踏み入るパパラッチ。
カメラ以外に何もない静の尊厳を守るのは、載せない事よりも載せる事だった…、のだろうか。
この時の滝藤さんの泣き方も、相変わらず汚くて最高でした。

下衆な世界で、カメラに生きてカメラに死んだ男。
エンタメ映画として面白かったです。
怨念大納言

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