クリントイーストウッド監督の根底にあるリバタリアン的な思想が、世間の価値観に沿った形で表現された作品だなと思いました。
一人一人が普段から常に準備してきたことを、滅多に起きないような危機的状況を乗り切るために、一人一人が与えられた場所でベストを尽くして、そしてやり遂げる。
小さな政府の理想的なかたち。
たった3分足らずでの圧倒的な危機からの脱出を90分かけて描いても、軽すぎず重すぎずにちょうどよい重さと温度で身体にすっと入ってくる、この職人技の素晴らしさには胸踊ってしまいましたが、
正しさと背中合わせの危うさをずっと感じてて。
だから、静かな穏やかな作品でも、緊張感をもって惹きつけられてしまうんです。