戦争の虚しさを徹底的にリアルに描く…
と言ってもソレは作戦の過程や戦闘シーンを再現という意味ではなく、状況下に置かれた兵士のヒューマンドラマとしてである。
言い換えれば派手な展開やエモーショナルなメッセージなんて物は無く、タダひたすらに命令を遂行する兵士がどんな風に戦地を経験するかという物語であり、1本の映画としては
『凄まじく地味』
である。
ひたすらに厳しく辛く虚しさが襲う展開であるが、そこで主人公は戦争という物を知り、生き抜く。
溜飲が下がるなんてオチもない。
何せ筋書きが地味だ。
物語の首軸が戦いじゃない。
前線で"常に"銃弾に晒されるなんて事はない。
勿論 晒されるシーンも何回かあるが"常に"どころか結構少ないし、カッコ良さ全開とかではない。ソレこそ地味だ。
だからなおさら淡々と怖い。
映画として名作/傑作という位置には来ないだろう。
でも戦争という舞台に置かれた人間をリアルに描けばこうなるんじゃない?
兵士が戦地でやる事は戦闘だけではない。
だが常に生命は《危機に晒される》。
兵士は命令に従い戦地へ赴き、命令に従い《帰還する。》
(この帰還がまた何とも…)
あんな終わり方、映画としちゃ『…え?』なのかも知れないが、あんな終わり方だからこそリアル。
映画としてコレをやると正直言ってドキュメンタリーには勝てない。
だがソレに敢えて挑戦したのではないか?と思える様な作品に思えた。
戦争モノとして盛り上がるとは言いがたいが、ワシは中途半端に哲学的だったり説教臭いセリフで〆るタイプのヒューマンドラマよりコッチの方が俄然大好物である!