ガンビー教授

ジュラシック・ワールド 炎の王国のガンビー教授のレビュー・感想・評価

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前作も前作で一応スピルバーグという人に敬意を示しながら作った映画なのだろうとは思うのだが、「スピルバーグ理解」ということで言えば僕はこちらのほうが勘所が良いような気がした。まあ、スピルバーグっぽさということを評価軸にするのもどこかおかしい話なのだけど……

動けないクリス・プラットが草食恐竜に舐められるdisgustingな感じとか、そこに溶岩が迫ってくるところのギャグ的なサスペンスとか、あるいは残酷だったり悪趣味だったりする描写ひとつひとつ取ってみても、それらを冗談のように撮ってみせる感覚がスピルバーグっぽいと思う。

特に前半、並行しながら迫る複数のサスペンスを同時に捌いていく見せ方もそれらしい。

あるいは、雷で一瞬姿を浮かび上がらせるも振り返ったとたん背後の闇に埋もれる恐竜の顔、といった映画的間合い。

また、溶岩にどろりと溶けて沈む恐竜の骨だとか、溶岩と粉塵の中に埋もれながら哀切な叫びを上げる首長竜のシルエット、強烈な光に浮かび上がる恐竜の影といった「美しい」瞬間、時にはどこか叙情的で、「映画ごころ」を見せるショットみたいな部分があったのは良かった。スピルバーグのオリジナルにあって、前作に決定的に欠けていたものはこれではないか……と思う。

後半の洋館を舞台にした見せ場も、傑出したオリジナリティとは言わないものの作り手の趣味だとか手腕、嗜好が見てとれる出来になっていたのも好印象。

まあ、物語の大枠にそこまで興味が持てないのは興味を引きつける(人間の)キャラクターがいないからだと思うのだけど、それは最初からこのシリーズに期待してないし、たぶん文句を付けるべき部分じゃないよね。しいて言えば自分勝手なクズがいっぱい出てきたのはちょっと面白かったけど。あんなコテコテの憎まれ役軍人キャラ見たの、アバター以来だ。
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