賽の河原

ジュラシック・ワールド 炎の王国の賽の河原のレビュー・感想・評価

3.2
なんかね、劇中で「人間の長い歴史で明らかなことは、人間は必ず戦争をするということだ。そして戦争に勝つためなら人間は手段を選ばないということだ。」というような趣旨のセリフがあるんですけど、前作の「ジュラシックワールド」と本作観て思うのは「人間は割とガバガバな方法で恐竜を使った金儲けを考えるが、毎回それで痛い目に遭うんだ」っていうことですよね。しかもそれがこの映画のメタな構造にもなってる。要は「『ジュラシックパーク』っていうフォーマットを下敷きに金儲けしようと続編を作ってはみるものの、『ジュラシックパーク』という映画の本質的に優れた構造をきちんと理解せずに続編を作るから、映画としての到達点が低い」ということですよ。
前半の火山の噴火を絡めた島でのくだりはなかなか面白かったですけど、後半部である場所を舞台にした「恐竜に食べられちゃうよ〜」っていうくだりは、場所の限定があんましうまくいってないのでなんだか切実さに欠けるんですよね。悪役のプランの甘さ、慢心ぶり、ガバガバさも大概だと思いますし。
何より問題だと思うのは、道徳意識とか倫理観に欠けた脚本ですよ。特にヒロインのクレアさん、前作であれだけのことがあって、観ていて「いや、そもそもこういう事態になった責任の一端はお前にあると思うんですけど?そこに対する反省とかもなく『恐竜を救う』とかお前傲慢かつ厚顔無恥すぎねえか?」と思わないでもなかったですね。でも、おっぱいは凄かったんでそこまで腹立ちませんでしたね。
最後、タイトル通りまさに「ジュラシックワールド」という感じになっちゃうんですけど、それを決定づける行動をするある人物なんかも「いや、お前のアイデンティティをめぐるシンパシーとその選択は全く違う次元の話だろw っていうか『恐竜さんがかわいそう』みたいなテンションでやることがヤバすぎでは...」というね。
でもまぁそういう「話としてこれはいいのか?」っていうところに目をつむればアトラクション的には楽しめると思いますし、4DXとかで観たらクソ面白いんじゃないですかね。なんなら前作の「ジュラシックワールド」が過去作をなまじなぞっていたため、ダメさが目立つのに比べて、本作は割に振り切ってはいるんで前作よりも好きかもしんないですね。
ブルー、かわいかったですね。特に吹っ飛ぶところがかわいかった。ところで前作から通して見てもブルーがそんなに信用に足るとは思えないんですけど、どうなんでしょうw
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