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ダンガル きっと、つよくなるのtoshiのレビュー・感想・評価

5.0
スコアMAXが5.0なんて低すぎます。今作は5万点つけたい位です。最高でした。やっぱりボリウッドは素晴らしいです。長尺のダルさなんて皆無。また、邦題に何か余計なものがくっついているのにイラっとさせられていましたが、観始めたらそんな事速攻すっ飛んでしまう程最初から最後まで感動の嵐でございました。
そしてさすがミスターパーフェクト、アーミル・カーン。やはりこの方の作品は裏切る事がありません。

アーミル・カーン演じる父マハヴィル。小柄なのに無駄のない筋肉で覆われ、村中ではレスリングの名選手としてちょっと有名な存在です。そんな彼が叶わなかった金メダルを手にする夢を息子に託すことを決めます。村人は彼に男の子が生まれる為のまじないを教えたり食べ物を与えたり・・・。でも彼に生まれた子供は4人全員女の子。夢を諦めかけた頃に長女のギータと次女のバビータが、ギータの同級生である男の子二人をフルボッコした事を知ると、ギータとバビータを女子レスリング選手に育て金メダル獲得を目指す事を決意します。
と、ここまでが冒頭みたいな感じですが兎に角テンポが良いです。この冒頭の個所だけでも十分に面白いです。そしてその後はレスリングなんて全くやる気のないギータ達と父の特訓シーンが続きますが、ギータ達の悲痛な心の叫び声が歌詞となったミュージックが流れます。この歌詞が最高でしたw そんなところもさすがボリウッドでございます。

ギータとバビータは兎に角練習をサボるために父のマハヴィルへ色んな工夫で練習妨害したり、サボってパーティに出かけるなどレスリングで戦うのではなく、練習サボりの為に父と戦います。
でも友達の女の子が、マハヴィルがギータ達にしている事に対する想いを
伝えると、その言葉を聞いて感動したギータとバビータはある決心をします。このお友達はギータ達の人生にとって、とても大きな存在であったのではないかと思います。

鬼コーチの父のもとでみるみる成長するギータ達。そして男子しか出場しない大会で勝ち続けます。父の教えを信じることにしてからのギータ達は負けることなどあり得ない選手へと成長していきます。
成長を続けた二人ですが、特にギータの成長が著しく国際戦にも出場できる選手となるわけですが・・・。

ギータの幼少期と青年期の女優さんが同一人物と思う程にていて、そしてとても美しかったです。また、アーミル・カーンが若い時から初老迄一人で完璧にこなしていたことはやっぱり脱帽せざるを得ません。マイナス27キロという驚異的な体重減を行い、若い頃のレスラーである筋肉質な体から、ギータ達の父親になる頃にはぽっこりお腹の中年オヤジとなり、役作りに対する見た目の説得力は十分でした。
レスリングのシーンも一切の妥協は無く、完全な真剣試合の様でとてもリアルです。兎に角全てにおいて作り手が本物のレスリングの試合の様に今作を真剣勝負で作り上げた・・・、そんな感じがします。
そんな事も思いながらなの鑑賞だったからか序盤から涙が止まりませんでした。140分間泣かされっぱなしでした。なんでこんな素晴らしく人を感動させる作品を作れるのでしょうか。

もっともっと観ていたかった今作。幸せな時間をありがとうございました。

【余談と言いますか続き?】
父マハヴィルは「攻めのスタイル」。でもギータのコーチは「防御のスタイル」。このスタイルの違いでギータの試合結果が異なってきます。
「今日からは俺の教えに従え。昨日までの練習内容は一切忘れろ」そんなスタンスのコーチ。選手一人一人の特色も知らないうちから、選手全員に同じ言葉を投げかける・・・。コーチ失格ですよね?w
このコーチのおかげで終盤とんでもない事がおきます。何て酷い事を!

以前私がエンジニアで現役だった頃、顧客ベンダーに中堅クラスのエンジニアさんがおりましたが、この方の後輩に対する育成がスパルタというか、課題をポンと与え後は自分の考えで片づけろ!でした。下についた後輩には全員同じやり方です。当然ギブアップしてくる者も出てきます。
彼も若い頃同じことを先輩社員にやられ、でもそれで自分は仕事がこなせるシステムエンジニアとなったと仰っていました。あきれてものも言い返せませんでした。自分がそれで成功したから同じやり方で後輩も育つだろう?・・・。こんな考え方の人が、人の上に立ってはいけません。部下が10人居たら一人一人全く異なる人間と思わなければなりません。そしてその一人一人に合った育成方法で育てないと社員は育ってくれません。
今作のコーチも同様。自分を過信してはなりません。
先ずは人を知る事。そして信じる事。それが出来なければ夢は叶わない・・・。そんな事を思い出させてくれた今作でもありました。
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