トムが飛び、トムが落ちて、トムが殴られ、トムが殴る。
トムが撃って、トムが轢いて、トムが走り、トムがヘリに乗る。
相変わらずのトム・クルーズ全部盛りなサービスの塊映画。
IMAX画角に広がるヘイロー降下シーンやヘリチェイスは確かに実物だが、自分の心を掴んだのは序盤でのトイレファイト、中盤でのカーチェイスと言ったソリッドなアクション群だった。
「あ、今のは折れましたね」と画面から伝わる例のシーンと言い心臓に悪いアクションの連続で飽きが来ない。
マッカリーの(現場で作っていったとは思えない)脚本の精密さは相変わらずで相手の(そして観客の)裏をかいていく様は正にスパイ映画。
ドラマ面でも6作目にして遂に主人公イーサンの内面を情緒的に詩的に描いており、何だか新鮮な気分になった。
「マジ？」「…マジ？？」「マジか」「マジかよ！？」的な「マジ顔リアクションカット」のバリエーションが多彩で良い。
そのお陰か、多くの登場人物により親近感と愛情がわいた。
「ミッション・インポッシブル最新作」というよりは「ローグネイション続編」という側面が強く、少し人を選ぶ作品になっているかもしれないが夏は家族、恋人、友人と映画館でトム・クルーズの美しいランニングフォームを大画面で観よう。
2023/7/13 グラシネIMAX
劇場公開以来なので5年ぶりか。
ぶっちゃけ1回目より楽しめたんじゃないですかね。IMAX拡張シーンの生々しさは勿論、アクション、アクションの絶え間ない繰り返し。それを繋いでいく即興脚本。本当に脚本なしで撮入したなんて信じられない作品ですよ。辻褄合わせというか、二転三転の上手さがね。ヘイロージャンプからの超絶トイレアクションでお腹いっぱい。その後に「こいつは信用できないどころか、まあこいつが黒幕ですよ」と「割れてないスマホ」で示しつつ、それはIMFもCIAもお見通しですよで観客を没入させていく。キャラクターアークも完璧だ。元妻の再登場で掘り下げるイーサンの内情。愛が垣間見えるイルサの決着。前作から続投のクソ野郎はイルサに倒させます！に物語があるので「ただ戦っているだけ」のアクションシーンではない事にマッカリーの職人技を感じてしまう。あーまた映画館で観たいなぁ。
