原作未読。震災メタファー作品として描かれたであろう漫画が、映画化され公開された2024年ではコロナ禍メタファー作品に思えてならないと言う時代性。
「異常」が「普通」となった世界。
それでも続く日常とささやかな友情と愛情。それらが崩されるであろうクリフハンガーに徹した前章。何もかもが宙ぶらりんで終わっている現場に贅沢さを感じる理想的な前篇作品。
あのテロップで終わっていいんだ、って言うね。そりゃ気になって仕方ないですよ。どう展開するんだろう。大虐殺ですよ、今のところ。肩透かしじゃなく言葉通りの展開になって欲しいなぁ。
大衆を馬鹿にする内情を抱いている孤立した(していた)人間が、その実、選民思想的で誰よりも大衆的である…と言う捻くれ描写が良かったですね。
後半にかけて畳み掛けていく構成、小慣れた原作再編と語り口の軽やかさに「これ吉田玲子脚本じゃねえの」と思ってたら、やっぱりそうでした。
ベタだけどお兄ちゃんが好きですね。キザでネットミーム的ノリな男だけど、なんか普通に妹への愛情は強いし、お父さんとも関係性が悪くないっていう。アフィで金稼ぎしてるなら無職でもないですからね。
