真田ピロシキ

ミッション:インポッシブル/フォールアウトの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.5
この手の映画にはもう興味が湧かないので今後見るかの参考に鑑賞。大いに楽しめる面はあったが不満点もかなり大きい。

アクションの本気度は満点つけたい。このスカイダイビング、全然カットがないけどどうやって撮ったんだと思ってたらガチでリテイクを重ねてやりましたという驚き。ワイヤーで吊るしてCG盛り盛りとかじゃなくトムとカヴィルが本当にやってるんだってよ。当然撮るカメラマンも。普通ならスタント吹き替えをしているアクションシーンでもきっとトムだから大体は本人がやってるんですよね。水攻めにロッククライミングにカーチェイスにヘリ操縦と無茶たくさんで、それらを万が一の事が起きないよう綿密に計画して撮る職人魂には感動を覚える。車に衝突した時は「うえっ」と思わず声が出て、トムが二階の窓から飛び降りる時にはオフィスの人達と視聴者である私のハラハラが完全に一致する感情移入度。ガチでなければこうは行きません。どうやって撮ったのか。どこまで本人なのか。何をCGにしてしてないのか。そういうことを考えながら見ればとても面白いアクション映画です。

満点クラスのアクションを大減点するほど話はつまらなかったです。主人公側を勝たせるために用いられる「残念だったなあトリックだよ!」「計画通り」のドヤ展開連発にはマンガかよと呆れるばかり。歴代キャラクターをジェレミー・レナー以外全員出すのも昨今のキャラクタービジネス化した悪しきハリウッド大作を踏襲。そのせいでクソ長い。一握りのヒーローが世界を救って讃えられる話になってるのも耐え難い。「IMFは仮面をつけたハロウィン集団」と言われたことやホワイトウィドーという名のキャラクターはトム・クルーズが決して出ないアメコミ映画への皮肉があるのかと最初は思っていたが、これ何もかもマーベルと同じじゃないか。今のブロックバスター映画に対する嫌悪感はコスチュームをしているか否かではなくてそれ以前の所にあるのだと痛感させられた。

これが序盤の内はまだ出来レースじゃなくギリギリ現実に存在し得るかもと思えるエージェントをやれていた。トイレ格闘シーンがそれ。本来なら注射器を刺して眠らせるだけのシンプルな計画だったのに周りに人がいたせいで近づくタイミングを逃したために警戒され反撃を受ける。コイツが物語のボスキャラでもないのに2人がかりでも確保できないほど強い。こんな想定外が起きるのはイーサン・ハントが世界最強全知全能不死身のスーパーマンではない事の証で世界観にはリアリティがあった。それが1作品中で破綻するのはシリーズとしての限界があるのだと思う。イーサン・ハントなどもういらない。新しいトム映画を頼む。トムならあと10年くらいはやってくれるはずだ。